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安藤ハザマ、造成現場の施工管理のためのデジタルツイン基盤を開発

DIGITAL X 編集部
2025年4月25日

建設大手の安藤ハザマは、施工現場における進捗管理や現場確認のためのデジタルツイン基盤を開発した。盛土や掘削によって変化する造成現場の状況を計測した点群データを元に3D(3次元)で可視化し、施工の問題点の発見と対処を早めるなど生産性を高めるのが目的だ。2025年4月10日に発表した。

 安藤ハザマが開発したのは、造成工事における施工現場を3D(3次元)で可視化するためのデジタルツイン基盤(図1)。進捗管理や現場の確認などに利用し、施工上の問題点を早期に発見・対処するなどで全体工期の短縮を図る。元請会社の職員と協力会社の職長が毎日、デジタルツイン上で作業を打ち合わせることで指示や調整がスムーズになり、作業内容の理解を深められるとしている。

図1:安藤ハザマが開発した造成現場を対象にしたデジタルツイン基盤の画面例

 進捗状況の定量的な把握のために、施工現場を計測した点群データに基づく空間情報と工程情報を連携させている。これまでに(1)進捗管理と(2)遠隔確認の2つの用途での有効性を検証できたという。

 進捗管理では、施工現場の土量(出来形)の変化を算出し、進捗率をダッシュボードに表示する(図2)。計画に対する実績から進捗傾向を見いだし工事の完了時期を推定する。遅れが見られる工程はデジタルツイン上で強調し、関係者に注意喚起するなどで判断を急がせる。従来、掘削で発生する土砂は別の場所に運ばれ日々、地形が変化しているため進捗把握に手間がかかっていた。

図2:土量の出来高をダッシュボードに表示し進捗傾向を予測する

 遠隔確認では、現場所長が遠隔から現場の状況を確認することで、場内の移動にかかる時間を1回の確認につき約80%削減できた。工事現場では、大型ダンプとの接触事故を防止するため所長らが利用する車両の移動を制限しているため、職員の場内の移動に時間が掛かっている。

 現場の点群データは、自動運用型ドローンや、職員が持つスマートフォンを利用して取得する。計測からデータの生成、デジタルツインでの可視化や解析までのフローを自動化するシステムも開発することで、計測業務を従来比で80%程度削減できている。デジタルツイン基盤の構築は、ドローンによる測量・点検サービスを開発するWorldLink&Companyが支援した。

 安藤ハザマは今後、トンネルやシールドの工事など、地下空間や構造物内部の進捗管理にもデジタルツイン基盤の適用を広げる計画だ。将来的には標準的な施工支援ツールとしての活用できるよう汎用性を高めていく。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名安藤ハザマ
業種製造
地域東京都港区(本社)
課題造成工事における工期を短縮したい
解決の仕組み現場の点群データに基づくデジタルツイン基盤を構築し、作業の進捗状況や将来を予測し、現場に発生している問題点を早期に発見・対処し生産営を高める
推進母体/体制安藤ハザマ、WorldLink&Company
活用しているデータ点群データを含む建設現場の地形情報、出来高(実績)データ、工程情報など
採用している製品/サービス/技術--
稼働時期--