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パン粉のフライスター、注文書を処理する生成AIとRPAを組み合わせたAIエージェントを導入へ

ANDG CO., LTD.
2025年5月2日

パン粉製造大手のフライスターは、注文書を自動処理するAI(人工知能)エージェントを、生成AIとRPA(Robotic Process Automation)を組み合わせて開発した。実証実験により有効性を確認できたことから本格導入に向け、さらなる精度向上を図る。開発を支援したユーザックシステムが2025年4月24日に発表した。

 パン粉製造大手のフライスターが開発した「受注AIエージェント」は、顧客からFAXで受け取った注文書から受注データを基幹システムに入力するまでを自動的に処理するもの(図1)。取引先ごとに異なる注文書による受注処理における入力ミスを削減し、納品違いや納期遅延を防止するのが目的だ。

図1:フライスターが開発した「受注AIエージェント」による受注業務の流れ

 受注AIエージェントは、生成AI(人工知能)とRPA(Robotic Process Automation)を組み合わせて開発した。まずFAXで受信した注文書をRPAツールを使って取り込み、内容をOCR(光学文字認識)技術により文字情報に変換する。それを生成AI技術で認識し、商品名や数量、得意先などの情報を抽出。基幹システムへの入力に必要な商品コードを紐付けたうえで、RPAツールが注文データとして基幹システムに入力する。

 実証実験では、複数の注文書のレイアウトや注文内容などに対応できたとする。注文書情報の取得から基幹システムへ入力するデータの出力までの自動化では93.6%以上の精度が出せた。注文書からの文字情報の取得では94.6%、商品情報の取得では100.0%の精度を得られた。今後の精度向上が期待できることから、本格導入に向けた要件整理と詳細設計を進める。

 フライスター 営業部業務課の都丸 寿雄 氏は「検証結果は新しい受注業務のあり方をイメージできるものだった。それぞれのFAXレイアウトに対応できた点が実現可能性を高めている。採用した技術は属人化からの脱却をイメージさせるものであり、課題と運用を整理しながら自動化を推進していきたい」としている。

 同社の受注業務ではこれまで、属人化に伴う誤入力が発生し、そのリカバリーのために急きょ航空便で出荷するなど物流コスト増大の要因になっていた。加えて担当部署では恒常的な人手不足に悩まされている。

 受注AIエージェントは、情報解析とRPAの機能を持つ「Autoジョブ名人」(ユーザックシステム製)を使って開発した。ユーザックシステムは、FAXを使った受発注業務を自動化したいというニーズが製造業を中心にあることから、開発した受注AIエージェントを他社にも展開したい考えである。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名フライスター
業種製造
地域横浜市港北区(本社)
課題FAXで受け付けている注文書からの受注処理でのミスを減らし、納品違いや納期遅延を防ぎたい
解決の仕組み注文書から基幹システムへの受注データ入力までを自動化するAIエージェントを開発する
推進母体/体制フライスター、ユーザックシステム
活用しているデータ注文書に記載された商品名や数量、得意先などの情報
採用している製品/サービス/技術RPAツール「Autoジョブ名人」(ユーザックシステム製)
稼働時期--