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鉄建建設、高速道路の工事に伴う交通規制状況を可視化するIoTシステムを実証実験

DIGITAL X 編集部
2025年5月20日

鉄建建設は、高速道路のリニューアル工事に伴う交通規制状況を可視化するためのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)システムの実証実験に取り組んでいる。生成AI(人工知能)技術も利用し音声による操作も可能にする。工事現場の管理業務の負荷を軽減しながら、工事関係者との情報共有により工事の安全性や効率を高めたい考えだ。2025年5月13日に発表した。

 鉄建建設が実証しているのは、高速道路のリニューアル工事に伴う交通規制の状況を可視化するためのIoT(Internet of Things:モノのインターネット)システム(図1)。位置センサーとカメラ画像から規制帯の状況をリアルタイムに把握できるようにする。生成AI(人工知能)技術を組み合わせ、工事関係者はスマートフォンから音声で状況を確認できるようにもする。交通規制の管理や確認、関係者間の情報伝達などの業務負荷軽減を図るが目的だ。

図1:鉄道建設が実証している交通規制状況を可視化する仕組みの概要

 このほど実施した実験では、リニューアル工事の一環である床板の取り替え工事を対象にした。検証課題として(1)位置情報を用いた規制帯の一元管理、(2)チャットアプリケーションと連携した現場映像のリアルタイムでの確認、(3)報告書への規制履歴の自動出力の3つを設定した。

 規制帯の一元管理では、規制帯の起点と終点、および工事車両の出入り口に設置する保安設備に位置センサーを取り付け、それをGPS(全地球測位システム)測位により位置情報を取得し、地図上に表示できるようにした(図2)。工事関係者は規制帯の状況をリアルタイムに把握でき、規制管理者への問い合わせが大幅に減少したという。外部の渋滞情報と連携させ、渋滞状況に合わせた規制実施の判断や発注者との連携にも活用した。

図2:規制帯の実施状況を地図上にリアルタイムに表示した例

 現場映像の確認では、現場にクラウド対応のカメラを設置し、その映像を地図上の規制情報と重ね合わせた。その情報を管理担当者はスマホのチャットアプリから自然言語で呼び出し、作業や規制の状況を把握する。確認に必要な時間は3分程度に短縮でき、担当者間の意思疎通や発注者からの問い合わせへの対応速度が高められた。従来は、状況確認に移動時間を含めて1日60分がかかっていた。

 規制履歴の自動出力は、システムが集計・記録した結果を一括出力する(図3)。手作業では毎月100分程度かかっていた報告作成業務が不要なうえ、転記ミスがなくなることでの記録精度の向上が確認できたとしている。

図3:車線の規制履歴を一覧表示した例

 今後は、位置情報とカメラ映像の連携や、アプリの操作性を高めるとともに、連携するセンサーデータの種類も増やし、施工現場で可視化できる範囲を広げていく方針である。可視化システムは、高速道路の工事だけでなく、他の土木・建設領域への展開も模索する。

 IoTデータはIoT基盤「BizStack」(米MODE製)上で管理する。生成AIにはAIアシスタント機能「BizStack Assistant」(同)を利用している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名鉄建建設
業種交通
地域東京都千代田区(本社)
課題道路工事時の交通規制の実施状況を迅速に確認し、情報伝達や意思決定の精度を高めたい
解決の仕組み規制帯に設置する保安設備の位置情報と規制帯を撮したカメラ映像を連携し地図上に表示したり、チャットアプリから音声により情報を参照できるようにする
推進母体/体制鉄建建設、米MODE
活用しているデータ規制帯に保安設備の位置情報や作業現場に設置したカメラの映像、交通渋滞情報
採用している製品/サービス/技術IoT基盤「BizStack」(米MODE製)、生成AIアシスタント機能「BizStack Assistant」(同)
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