• UseCase
  • 流通・小売り

ドン・キホーテ渋谷本店、インバウンド対応で商品陳列場所を画像検索できるAIサービスを開発

DIGITAL X 編集部
2025年5月21日

ドン・キホーテ渋谷本店は、来店者が求める商品が店内のどこに陳列されているかを画像で検索できるAI(人工知能)サービスを提供し始めた。システムは、ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)グループでシステム開発を担うカイバラボが、データ関連事業を手掛けるブレインパッドと共同開発した。売り上げの7割を占めるインバウンド顧客の利便性向上と店舗スタッフの案内負荷軽減につなげる。ブレインパッドが2025年5月9日に発表した。

 ドン・キホーテ渋谷本店が提供するのは「店舗内商品AI検索サービス」。来店客がスマートフォンに保存している商品画像をアップロードすれば、その商品が陳列されている場所を提示する。商品を探して店内を歩き回る手間を省くことで顧客の利便性向上と店舗スタッフの案内負荷の解消を図るのが目的だ(図1)。主に同店の売り上げの約7割を占めるインバウンド客を対象にしている。

図1:ドン・キホーテ渋谷本店が導入した「店舗内商品AI検索サービス」の導入前の課題と導入後の成果

 渋谷本店が扱う商品数は約130万点。ただこれまでは、店内のどこに、どの商品が陳列されているかを示すデータベースは構築していなかった。新サービスの提供に当たり、商品棚のIDとSKU((Stock Keeping Unit:商品の最小管理単位)を紐付ける棚割りデータベースを構築し、画像から商品の陳列位置を判別できるようにした。

 同機能は、異なる棚に置かれてしまった商品を正しい棚に戻す作業にも有効なことから、経験が浅い店舗スタッフでも短時間で正しい陳列位置を特定することにも利用する。

 顧客が所有する商品画像には、商品の製造元が作成した画像もあれば、顧客や一般消費者が撮影した画像もある。複数の商品が写りこんでいる場合もあるため、商品の特定に工夫が必要になる。

 開発を支援したブレインパッドが、Google Cloudの生成AIモデル「Gemini」と機械学習プラットフォーム「Vertex AI」の画像認識技術を利用することで、ばらつきのある商品画像から適切な商品を提示できるようにした。特定の商品だけが写る画像であれば、検索結果の上位5件以内に求める商品が100%存在するまでに精度を高められたという。

 カイバラボは今後、社内システムとの連携を図り、商品管理などにも利用できる新プラットフォームに発展させたい考えだ。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH、ドン・キホーテなどの運営会社)
業種流通・小売り
地域東京都渋谷区(ドン・キホーテ渋谷本店)
課題インバウンド客を中心に求める商品が店内のどこにあるのかを探し出すのが難しい
解決の仕組み顧客がスマートフォンに保存している商品画像から店内の陳列位置を検索・提示するサービスを開発し提供する
推進母体/体制カイバラボ(PPIHグループ)、ブレインパッド
活用しているデータ商品の画像情報
採用している製品/サービス/技術生成AIモデル「Gemini」(米Google製)、機械学習プラットフォーム「Vertex AI」の画像認識技術(同)
稼働時期−−