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大塚倉庫、物流網の持続性を高めるために全倉庫のリアルタイムな一元管理を推進
大塚グループの物流会社である大塚倉庫が、全国にある物流現場をリアルタイムに一元管理する仕組みづくりに取り組んでいる。2026年春までに完了させる計画だ。その一貫としてこのほど、物流倉庫への不正侵入を検知する生成AI(人工知能)システムを開発した。同様の仕組みは出荷業務にも適用したい考えである。2025年5月9日に発表した。
大塚グループで医薬品や食品などの物流を担う大塚倉庫は、物流網の持続可能性を高めるのを目的に、全国の物流現場を東京本部からリアルタイムに一元管理する仕組みづくりに2025年春から取り組んでいる。WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)の刷新や、運転手向けアプリケーションの開発などを進め、2026年春までに完了させる計画だ。2025年4月から一部試行を始めている。
その一環として物流業務におけるセキュリティリスクを軽減するために、倉庫への不正侵入検知システムを開発した。倉庫内の複数カ所にクラウド接続型のカメラを設置し、撮影した静止画像を生成AI技術を使って解析する(写真1)。不正侵入が疑われる状況を検出すると、倉庫管理者に通知する。従来は、担当者が必要に応じて録画データを確認しており侵入検知に遅れが発生していた。
不審者を特定するための条件を自然言語で設定する。具体的には「作業着を着ていない者」や「ヘルメットを着用していない者」などを示す特徴を列挙した。倉庫の業務規則に即した監視体制を構築できたとしている。
事前に実施したPoC(Proof of Concept:概念実証)では、生成AIの汎用モデルだけを使用してローコードで開発した。特定業務に最適化する強化学習やファインチューニングといった手法を用いなくても、不正侵入検知の十分な精度を確保できているという。
システム開発には、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)アプリケーションの開発・実行基盤「SORACOM Flux」(ソラコム製)と生成AIモデル「Gemini」(米Google製)を使用した。開発期間は1カ月だった。
今後は、同様の仕組みを出荷作業における出荷ミスといった業務エラーを判定・防止する仕組みに応用するための研究開発を進める予定である。
企業/組織名 | 大塚倉庫 |
業種 | 物流 |
地域 | 大阪市港区(本社) |
課題 | 物流網の持続可能性を高めたい。その一環として物流業務に関連するセキュリティリスクを抑えたい |
解決の仕組み | WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)の刷新や、運転手向けアプリの開発などを進める。セキュリティリスクの観点からはクラウド接続型カメラで撮影する静止画を生成AI技術で解析して不正侵入などを早期に検知する |
推進母体/体制 | 大塚倉庫、ソラコム |
活用しているデータ | 物流業務に関連するデータ、クラウド接続型カメラで撮影した静止画など |
採用している製品/サービス/技術 | IoTアプリケーションの開発・実行基盤「SORACOM Flux」(ソラコム製)、生成AIモデル「Gemini」(米Google製) |
稼働時期 | 2026年春(物流現場を一元管理するシステムの稼働予定時期) |