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生協の物流支えるCXカーゴ、物流拠点の人とモノの動きを可視化するシステムを全13拠点に導入へ

DIGITAL X 編集部
2025年5月29日

日本生活協同組合連合会(生協)の物流子会社であるシーエックスカーゴは、物流センターにおける作業進捗や在庫情報を可視化するためのシステムを2027年までに全国13拠点に導入する。すでに埼玉県桶川市にある「桶川第2流通センター」で稼働させている。限られた人員や倉庫スペースを有効活用するとともに、データに基づくマネジメント業務の高度化を目指す。システムを開発したGROUNDが2025年5月20日に発表した。

 日本生活協同組合連合会(生協)の物流子会社シーエックスカーゴが導入するのは、物流センターにおける作業の進捗や在庫の動きを可視化するためのシステム(図1)。2027年までに全国13拠点に段階的に導入する。人員や倉庫スペースなどの有効活用と同時に、データに基づく意思決定や改善活動を強化するのが目的だ。

図1:シーエックスカーゴは、物流センターでの作業やモノの動きを可視化するために進捗や作業量、在庫を分析する。赤枠部分が導入する機能

 新システムでは、WMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)やWCS(Warehouse Management System:倉庫制御システム)が持つデータから業務状況を表す情報を収集し、作業量や目標に対する進捗度合いをダッシュボードで可視化する(図2)。その結果を確認・共有することで、数値やデータに基づく客観的な検証や振り返りの定着を図っていく。

図2:出荷業務の進捗状況を表示したダッシュボードの例

 これまでに「桶川第2流通センター」(埼玉県桶川市)で2024年8月に新システムを稼働させている。現場の必要人員と、その増減を判断したり、進捗度合いから作業が何時ごろに終わるかを予測したりしている。物流センター内の各棚に格納している商品の出荷頻度をヒートマップで表示し在庫の動きの可視化にも取り組んでいる。

 今後は、在庫配置や作業員の動線の可視化を計画する。商品特性や出荷頻度を考慮して保管効率を高めたり、作業員のピッキングや仕分けといった業務の効率を高めたりすることで、物流センター全体の運用効率を高めたい考えだ。

 複数拠点への導入に伴い、物流センターそれぞれが導入しているWMSやWCSを連携させ、全社レベルでのデータ活用を本格化させるとしている。

 新システムには、物流施設管理システム「GWES:GROUND Warehouse Execution System」(GROUND製)の提供モジュールから、進捗分析の「PA:Progress Analyzer」と、作業量分析の「WA:Workload Analyzer」、在庫分析の「IA:Inventory Analysis」を利用している。在庫配置には「SO:Stock Optimization」、動線の可視化には「RO:Route Optimization」の各モジュールを追加導入する。

 シーエックスカーゴはこれまでも、WMSやWCSを使った事務作業や倉庫内オペレーションのデジタル化と標準化を推進してきた。しかし、作業負荷の偏りや人員調整の遅れ、生産性の評価といったマネジメント上の課題に対しては、定量的な議論が難しかったという。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名シーエックスカーゴ
業種物流
地域埼玉県桶川市(桶川第2流通センター)ほか
課題物流センターの人員や在庫を最適化するとともに、客観的かつ定量的なマネジメント業務を実現したい
解決の仕組みWMS(倉庫管理システム)やWCS(倉庫制御システム)が持つデータを元に、作業の進捗や作業量、在庫の動きを可視化し、定量的な振り返りや業務判断を下す
推進母体/体制シーエックスカーゴ、GROUND
活用しているデータ物流センターにおける作業進捗、作業量、在庫状況、出荷頻度、レイアウトデータなど
採用している製品/サービス/技術物流施設管理システム「GWES:GROUND Warehouse Execution System」(GROUND製)が提供する進捗分析の「PA:Progress Analyzer」、作業量分析の「WA:Workload Analyzer」、在庫分析の「IA:Inventory Analysis」、在庫配置の「SO:Stock Optimization」、動線可視化の「RO:Route Optimization」の各モジュール
稼働時期2024年8月(桶川第2流通センターでの稼働時期、2027年までに全13拠点に導入予定)