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三井不動産、空調機を遠隔から監視・点検するシステムを「日本橋室町三井タワー」に導入
三井不動産は2025年4月、東京都中央区にある「日本橋室町三井タワー」において、空調機の稼働状況を遠隔から監視・点検するためのシステムを導入した。空調機に取り付けたセンサーで取得するデータを使い、定期点検業務の省人化を図るとともに、状態に応じて保全を図るCBM(Condition Based Maintenance:状態基準保全)への移行を推進する。2025年5月21日に発表した。
三井不動産が「日本橋室町三井タワー」(東京都中央区)で2025年4月から運用しているのは、空調機の稼働状況を保守担当者が遠隔から確認・把握するためのシステム(図1)。定期点検時に現場に赴くことを省き、センサーで取得するデータに基づいて設備の使用状況や劣化具合を判断する。設備の状態に合わせて適切なタイミングで保全するCBM(Condition Based Maintenance:状態基準保全)に移行するのが目的だ。
新システムでは、空調機内部にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)センサーを設置し、機器が出力する運転データと共に状態を示すデータを取得する。データはLTE(Long Term Evolution:4G)通信でクラウドに送信し、クラウド上で管理・分析する。保守担当者はオフィスなどにあるPCからデータを確認する。
IoTセンサーには、差圧センサーや振動センサーなどがある(図2)。差圧センサーでは、フィルターの汚れ具合を知るためにフィルターの前後差圧を計測する。振動センサーでは、ファンモーターの構成部品の劣化を知るために、モーターや軸受の振動を計測し、摩耗度を分析する。これらにより交換時期を予測し、必要なフィルターのみを交換したり、必要な部品を事前に手配したりする。
テナントビルの点検体制について三井不動産は2024年度から取り組んできた。これまでに、東京都中央区の「東京ミッドタウン八重洲」において入居フロアを対象に、Bluetooth通信を用いて空調機のセンサーデータ収集を実証した。そこで有効性が認められたことから、より広域での通信やリアルタイム性を確保するために通信方式をLTEに変更したうえでの本格導入を決めた。
遠隔監視・点検システムには、空調機を納入するダイキン工業製の「エアハンリモート点検サービス」を採用した。ダイキンは、東京ミッドタウン八重洲の入居テナントでもあり、先の実証時から協力してきた。
三井不動産によれば、オフィスビルの空調設備の定期点検は衛生環境の維持に不可欠なものの、保守担当者が現地で空調機を目視点検することは、特に複数の建物を巡回する場合の負担が大きく、昨今の人材不足により対応が難しくなっていた。また同社の設備保全はこれまで設備の状態によらず定期的に実施するTBM(Time Based Maintenance:時間基準保全)が中心だった。
企業/組織名 | 三井不動産 |
業種 | サービス |
地域 | 東京都中央区(日本橋室町三井タワー) |
課題 | 空調設備の定期点検のために担当者が現地を訪れ目視点検することは負担が大きく、人手不足などにより難しくなってきた。時間基準の保全作業を状態に応じた保全に切り替えたい |
解決の仕組み | 空調機の稼働状態をIoTセンサーなどで測定し、クラウドで可視化・分析することで、遠隔点検と状態に応じたCBMに移行する |
推進母体/体制 | 三井不動産、ダイキン工業 |
活用しているデータ | 空調機の運転データ、温湿度、モーターの振動、フィルター前後の差圧など |
採用している製品/サービス/技術 | 空調機の点検サービス「エアハンリモート点検サービス」(ダイキン工業製) |
稼働時期 | 2025年4月(日本橋室町三井タワーへの導入時期) |