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キヤノン、社員食堂の精算を食器の画像で自動化するAIシステムを開発し導入
キヤノンは、社員食堂での精算をトレー上の食器を撮影した画像から自動化するAI(人工知能)システムを開発し、グループ内で導入を進める。精算業務におけるスタッフの負荷を軽減すると同時に、混雑時のレジ待ちを解消し社員の利便性を高める。2025年7月からは外販もする。キヤノンマーケティングジャパンが2025年5月21日に発表した。
キヤノンが開発したのは、社員食堂での精算を自動化するためのシステム。配膳トレー上にある食器をカメラで撮影し、その画像をAI(人工知能)技術で解析することで購入した料理を特定し精算する(図1)。レジ担当者の精算作業を省人化し社員食堂の運営効率を高めるとともに、混雑時のレジ待ちなどを緩和し社員の利便性を高める。
精算システムでは、食器が並んだ配膳トレーを上部からネットワークカメラで撮影。その画像から食器の種類や数を識別し、それに応じた金額を算出して精算する。食器の認識精度を高めるために自社製の「食器認識AIエンジン」に多種多様な食器の形状データを学習させた。カメラの設置角度や照明条件などネットワークカメラを使う際の撮影ノウハウも生かしたという。
本番導入に先駆け、グループが持つ国内の社員食堂44カ所で検証を進めてきた。画像から食器以外の物品を除外する処理や誤判定を防ぐ設計などを検証し、実用に足る食器の判別精度を確認できたとしている。
今後は、食器の画像データを従業員の食生活の傾向分析にも応用し、健康指導や福利厚生施策にも展開していく考えだ。
食堂の自動精算では他にも、食器に貼り付けたRFID(ICタグ)を読み取る方式があるが、画像認識による方法のほうが食器関連のコストを85%削減できると試算している。RFID方式では、専用食器が必要で、料理内容や季節に応じた食器の選定が制限されるほか、タグや食器を定期的にメンテナンスしなければならない。
本システムは、キヤノンマーケティングジャパンが「社員食堂自動精算サービス」として商品化し2025年7月下旬より販売する。厚生労働省の令和5年(2023年)の統計によれば、日本には約5000の社員食堂がある。2030年までに、その3割への導入を目指す。セルフサービス形式の飲食店などへの展開も視野に入れる。
企業/組織名 | キヤノン |
業種 | 製造 |
地域 | 東京都港区(本社)含めグループ社員食堂がある全国44カ所 |
課題 | 社員食堂における精算業務の負担を減らすとともに、社員のレジ待ち時間を緩和したい |
解決の仕組み | 配膳トレーを撮影した画像から食器(料理)を識別し、料金を自動で精算する |
推進母体/体制 | キヤノン、キヤノンマーケティングジャパン |
活用しているデータ | 食器の形状・構造データ、ネットワークカメラでの撮影画像 |
採用している製品/サービス/技術 | 「食器認識AIエンジン」(キヤノン製)、ネットワークカメラ(同) |
稼働時期 | −− |