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製紙メーカーの米ジョージア・パシフィック、工場でのAGV搬送をデジタルツインで検証
米最大手の製紙メーカーである米ジョージア・パシフィック(Georgia-Pacific)は、工場におけるAGV(Automatic Guided Viechle:自動搬送車)の搬送経路の最適化などに向けデジタルツインでのシミュレーションの実証実験を進めている。デジタルツインはゲームエンジンを使って構築することで、結果を直感的に理解できるようにした。シミュレーション機能を提供する米SAS Instituteが2025年5月7日(米国時間)に発表した。
米ジョージア・パシフィック(Georgia-Pacific)は米国最大手の製紙メーカー。現在、ジョージア州リンコンにあるサバンナリバー(Savannah River)工場において、工場運営の最適化を図るのを目的に、デジタルツイン上でのシミュレ−ションの実証実験に取り組んでいる(図1)。現場での試行錯誤では難しい課題解決策をデジタルツイン上で検証し、より効率的な工場運営につなげるのが目的だ。
実験では特に、工場内で利用するAGV(Automatic Guided Vehicle:自動搬送車)の導線設計や、障害物の影響を最小限に抑える対応など、実務的な課題の解決を目指す。
工場のデジタルツインは、3D(3次元)モデルデータをゲームエンジンに取り込んで構築した。ゲームエンジンを使うことで、3Dモデルに対し、物理シミュレーション機能や、ライティングや屈折表現といったアニメーション技術の適用が可能になり、「物体が落下し跳ね返って通路をふさぐ」「暗所では作業者が障害物に気づきにくい」といった具体的なリスクや課題を可視化する。
3Dモデルは、工場内の設備やレイアウトをスマートフォン用の3Dスキャンアプリケーションを使ってスキャンし、点群データやメッシュ情報を取得し作成している。
デジタルツインには、実際の各種システムや設備のデータや数千のセンサーで取得したデータをリアルタイムに接続し、AI(人工知能)技術を使って、設備の温度や稼働状況などとして可視化する。
ゲームエンジンには「Unreal Engine」(米Epic Games製)を採用し、工場のスキャンには3Dスキャンアプリ「RealityScan」(同)を利用した。シミュレーションはAI分析基盤「SAS Viya」(米SAS Institute製)を組み合わせて実現している。
米SASは、ゲームのような映像体験の方が現場の作業者には直感的に理解しやすく、AI技術を使った分析やデータ活用を後押しするとみている。そのため今後は、Unreal EngineとSAS Viyaの組み合わせを、病院での患者の動線の最適化、医療機器の予防保守、スマートシティにおける都市設計や交通最適化などにも提案したい考えだ。
企業/組織名 | 米ジョージア・パシフィック |
業種 | 製造 |
地域 | 米ジョージア州リンコン(Savannah River工場) |
課題 | 工場運営の効率を高めたいが現場での試行錯誤だけでは施策のアイデア出しに限界がある |
解決の仕組み | 工場のデジタルツインをゲームエンジン上で作成し、設備やセンサーのデータをリアルタイムに取り込みながらシミュレーションすることで、より最適な運営方法を見つけ出す |
推進母体/体制 | 米ジョージア・パシフィック、米SAS Institute |
活用しているデータ | 工場をスキャンした3Dモデル、設備・センサーで取得するリアルタイムデータ |
採用している製品/サービス/技術 | ゲームエンジン「Unreal Engine」(米Epic Games製)、3Dスキャンアプリ「RealityScan」(同)、AI分析基盤「SAS Viya」(米SAS Institute製) |
稼働時期 | -- |