• UseCase
  • 製造

大和ハウス、オフィスビルなどを木造で建築するための設計システムを稼働

ANDG CO., LTD.
2025年6月11日

大和ハウス工業は、オフィスビルなどを木造で建築するための設計・施工システムを開発し、2025年6月2日から本格利用している。BIM(Building Information Modeling)データを使って環境性能をシミュレーションするなどで木造ビルの提案力を高めるのが目的だ。2025年5月29日に発表した。

 大和ハウス工業が2025年6月2日から本格運用を始めているのは、オフィスビルや商業ビルなど非住宅建築物を木造で建築するための設計・施工システム(図1)。BIM(Building Information Modeling:建物情報モデリング)データを活用し環境性能をシミュレーションするなどで、環境配慮型建築の提案力を強化するのが目的だ。鉄骨造の非住宅の設計においては2020年にBIM対応を完了している。

図1:大和ハウス工業が運用する木造の非住宅建築用の設計・施工システムの画面例

 木造用の設計・施行システムでは、木造の環境性を訴えるために、建物のライフサイクル全体での省エネルギー設計に取り組む。設計段階から施工シミュレーションを実施し、省エネ効果などの環境性能を試算する。エネルギー消費量やCO2(二酸化炭素)排出量などを可視化することで、具体的な数値データに基づく提案を可能にする。

 そのために、構造材や壁、屋根、窓、ドアなどの部材情報をBIMデータとして標準化した。設計者は各部材をBIMモデル上で組み合わせて設計を進める。BIMモデルからの図面の自動生成や、建材の数量を算出する数量表テンプレートも用意した。

 設計に必要な各種モデルは自動生成する。企画段階の床や壁などモデルや、柱・梁構造を含む詳細な構造モデル、耐火被覆を反映したモデルなどである(図2)。従来、鉄骨建築を対象にしていたが、新たに木造建築にも対応した。

図2:企画段階の柱・壁のモデルから、柱や梁の構造モデルを作成した例

 システムは、自社開発する設計・施工支援システム「D-Rex」においてBIMデータを扱うためのソフトウェア「Revit」(米Autodesk製)に対し、木造建築設計のための拡張ツール「BooT.one」(応用技術製)を組み合わせた。

 今後はD-RexとBooT.oneの機能を拡充し、木造建築の運用時のエネルギー効率の可視化や、建材の製造から施工までの過程で発生するCO2排出量の算定など、ライフサイクル全体のカバー率を高めていく。

 建物への木材利用に対し国は「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(都市(まち)の木造化推進法)」を2021年10月に施行し、木材の利用を促す「建築物木材利用促進協定」制度を創設している。オフィスビルや商業施設などは鉄骨造や鉄筋コンクリート造が中心だが、木材利用への取り組みが進み始めている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名大和ハウス工業
業種製造
地域大阪市北区(本社)
課題オフィスビルや商業施設など非住宅分野における木造建築を進めるために、木造の環境性能の可視化し提案力を高めたい
解決の仕組み自社開発するBIMデータ対応の設計・施工システムを木造建築に対応させ、省エネ性能のシミュレーションや設計・施工に必要な各種モデルを生成する
推進母体/体制大和ハウス工業、応用技術
活用しているデータ部材の形状や仕様、コスト、性能、サプライヤー情報などを標準化したBIMデータ
採用している製品/サービス/技術BIM設計・施工支援システム「D-Rex」(大和ハウス工業製)、BIMソフトウェア「Autodesk Revit」(米Autodesk製)、木造建築設計向け拡張ツール「BooT.one」(応用技術製)
稼働時期2025年6月2日(本格運用開始時期)