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ライオン、AIエージェントの内製強化に向けビジネス部門対象の集中教育プログラムを開始

DIGITAL X 編集部
2025年7月2日

ライオンは、自社業務に適したAI(人工知能)エージェントの開発するために、ビジネス部門における内製化を強化する。そのために、AIエージェントの開発に必要なスキル獲得に向けた教育プログラムを開始した。2025年度末までに100人の育成を目指す。2025年6月24日に発表した。

 ライオンの「AIエージェント開発者育成プログラム」は、AI(人工知能)エージェントの開発に必要なスキルを習得するための集中教育プログラム(図1)。ビジネス部門の非エンジニアを対象に実施し、自部門の業務に特化したAIエージェントを内製開発できる体制を構築する。

 2025年度末までに100人のAIエージェント開発者を育成し、各部門が必要とするAIエージェントを30以上、開発・運用したい考え。2026年度からは、得た開発ノウハウを各部門やライオングループ各社と共有していく。

 育成プログラムでは、業務における課題発見から業務設計、AIエージェント開発および効果測定までの習得を目標にする。具体的には(1)業務棚卸し:生成AIに適するタスクの選定、(2)業務フロー再設計:生成AIに任せる工程の明確化、(3)効果の試算:ROI(投資対効果)の見積もり、(4)開発:エージェントの実装、(5)検証・改善:実業務でのテストとチューニングの5つのステップで学習する。

 プログラム終了までに、自部門や個人の業務に特化したAIエージェントを1つ開発し、その効果を測定したレポートを作成。成果発表会を開き、開発したAIエージェントをデモ実演しROIを報告する。各部門での業務効率化事例は社内で横展開もする。AIエージェントの開発ツールには、ノーコード/ローコード開発基盤「Dify」(米LangGenius製)を採用した。

 既にプログラムに参加した社員からは次のような声が挙がっているという。

「ハードルの高かったRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)の検証や新しいツールの使用に気軽に取り組め世界が広がった。今後も生成AIを業務に導入していきたい」
「RAGの仕組みを実践する中で、ナレッジを使える形に整備することの重要性を改めて認識した。特に、質問の構造化やプロンプト設計といった基盤の整備が、生成精度や活用効果に大きな影響を与えることを実感した」
「自分専用にカスタマイズしたアプリを作成して、業務がかなり容易になった。新たに作りたいアプリのイメージもありスキルアップを継続していく」

 生成AIサービスの社内利用についてライオンは、2023年5月に「LION AI Chat」を内で開発し導入。AI Chatに実装したAIエージェントは「LION AI Agent Hug」に掲出し、社内利用をうながしている(図1)。要約や文書生成、メールの作成・返信、コード作成、調査支援などの機能がある。

図1:ライオンの社内生成AIサービス「LION AI Chat」の画面イメージ

 ライオンは、AI技術の導入・活用における最大の課題を「実装・活用を担う人材をいかに早期に育成するか」だと捉え、その解決が企業競争力を左右する要因だと考えている。集中教育プログラムの展開により、内製による開発速度の向上と業務効率化/新規価値創出の両立につなげる。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名ライオン
業種製造
地域東京都台東区(本社)
課題AI技術の導入・活用に向けて、その実装・活用を担う人材を早期に育成したい
解決の仕組みビジネス部門非エンジニアに対し、それぞれの部門/個人の業務効率を高められるAIエージェントを内製できるだけのスキルを習得させる
推進母体/体制ライオン、米LangGenius
活用しているデータ−−
採用している製品/サービス/技術AIアプリのノーコード/ローコード開発ツール「Dify」(米LangGenius製)
稼働時期−−