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ブランド品買取の大黒屋、外部ECサイトからの買い付け業務を自動化するAIシステムを導入

ANDG CO., LTD.
2025年7月4日

ブランド品の買取・販売を手掛ける大黒屋は2025年5月、外部のEC(電子商取引)サイトからの買い付け業務を自動化するAI(人工知能)システムを導入した。商品の探索から査定、買取額の提案までを実行する。商品在庫を拡充するのが目的だ。2025年6月25日に発表した。

 大黒屋は国内24店舗で、貴金属やブランド品の買取・販売事業を展開している。2025年5月26日、外部のEC(電子商取引)サイトに出品されている中古ブランド品の買い付け業務を自動化するAI(人工知能)システムを導入した(図1)。ネット上で流通している商品の探索から査定、買取額の提案までを自動化することで商品在庫の拡充を図る。

図1:大黒屋が導入した買い付けを自動化するAIシステムの流れ

 買い付け自動化システムはまず、出品されている商品情報を抽出し、画像認識技術によりブランド名や商品カテゴリーを特定すると同時に、テキスト解析によりモデル名や状態、付属品の有無などを把握する。画像認識の結果と出品情報との整合性もチェックし信頼性を判断する。例えば、ブランドの不一致やキズ・汚れに虚偽が含まれていないかどうかなどだ。

 これらの情報を、過去の店頭での査定履歴などと照らし合わせて商品を査定する。最終的な解析結果を基に、出品者に対し指値(買い取り価格)を提示する。指値データは、社内の買取チームが継続的に補正し、フィードバックをAIシステムの学習に反映させることで精度を高めているという。

 買取価格を出品者が承諾すれば買い取り処理を実行する。買取後は自社システムへの商品情報の登録もAIシステムが処理する。その内容を担当者は確認・補正すれば、自社サイトでの出品・販売が可能になる。

 2025年5月26日〜28日にかけて実施したPoC(Proof of Concept:概念実証)では、買取承諾率が最大24.3%、買取単価は最大9万6000円となり、合計で7600万円の買い取りが実行できたとする。理論上は1日最大100万件の商品情報を抽出し、最大10万件に対して買い取り提案を出せるという。

 大黒屋は、店頭と外部ECサイトから商品を仕入れている。従来は熟練者が査定し、出品者に直接買い取り希望を連絡していた。新システムの導入により査定担当者や真贋判定スタッフは、より専門的な作業に集中できる体制が整いつつあるとしている。

 今後は、システムにより1日1万件の買取提案を安定的に実施し、早期に1日当たり1億円規模の買い取りを目指す。他社のECサイト運営事業者やプラットフォーマーとの連携も視野に、1日当たり最大2億3400万円、年間856億円規模の買取・再販事業の構築を目標にする。

 なおAIシステムの画像認識には「Google Vision AI」(米Google Cloud製)を採用している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名大黒屋
業種流通・小売り
地域東京都港区(本社)
課題外部のECサイトに出品されているブランド品の買り取り業務を自動化し、商品在庫を拡充したい
解決の仕組み画像認識やテキスト解析の技術を使い、外部ECサイト上になるブランド品の探索から査定、買い取り価格の提示、自社ECサイトへの商品情報登録までを自動化する
推進母体/体制大黒屋
活用しているデータECサイトに出品されているブランド品の画像および商品説明テキスト、店頭買取で蓄積した査定履歴・取引実績データなど
採用している製品/サービス/技術画像認識サービス「Google Vision AI」(米Google Cloud製)
稼働時期2025年5月26日