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AGC、ウレタン製品の生産計画を生成するAIシステムを実証へ
AGCはウレタン関連製品の生産計画を立案するAI(人工知能)システムのPoC(Proof of Concept:概念実証)を2025年6月から実施している。計画業務の属人化を排除しながら、需要変動や製造状況の変化に対応した生産計画を自動で立案できるようにするのが目的だ。システム開発を支援したALGO ARTISが2025年7月8日に発表した。
AGCは2025年6月から、ウレタン関連製品の製造を担う鹿島工場(茨城県神栖市)において生産計画を作成するAIシステムのPoC(Proof of Concept:概念実証)を実施している。製品ごとに異なる反応条件や設備制約などを考慮した計画素案を自動で作成し、需要変動や製造状況の変化に対応した生産計画を立案・実行できるようにするのが目的だ。
ウレタン製品の製造では、温度・時間といった反応条件や原材料の組み合わせ、製造ラインの切り替え時間、設備の洗浄工程など多くの制約が存在する。加えて、製造設備の稼働状況や原材料の在庫は日々変動しやすく、リアルタイムな調整が不可欠である。
AIシステムのPoCでは(1)制約条件や設備能力を可視化し計画立案の基盤を強化する、(2)計画業務の属人化を解消し業務負荷を軽減する、(3)老朽システムを刷新し柔軟性と保守性を高めるの3点を検証する。導入効果は定量・定性の両面で評価する。
AGC鹿島工場 化学品部ウレタン製品課長の浅野 真 氏は「従来システムでは生産制約を十分に考慮できず、人手による修正が多く、業務負荷が高まり特定の担当者への依存が進んでいた。今回のPoCでは、システム要件と化学品分野の他製品へ展開を見極める。計画系業務全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を企画・検討しており、このPoCを起点に全体的な業務改革につなげていきたい」としている。
AIシステムには、化学業界向け生産計画システム「Planium(プラニウム)」(ALGO ARTIS製)を採用した。製品ごとの固有条件に対応でる点や、将来の高度化を見越した拡張性、UI(User Interface)設計の柔軟性を考慮したとする。例えばUI設計では、現場が長年使用してきた業務フローに沿って設計し、現場へのフィット感を高め定着を図るという。
企業/組織名 | AGC |
業種 | 製造 |
地域 | 茨城県神栖市(鹿島工場) |
課題 | ウレタン製品の生産計画を需要変動や製造状況の変化に合わせて立案したいが、複雑な制約条件を加味するには人手が必要で、特定の担当者への依存度が高まっていた |
解決の仕組み | 生産計画に各種の制約条件を考慮できるAIシステムを導入する |
推進母体/体制 | AGC、ALGO ARTIS |
活用しているデータ | 製品ごとの温度・時間などの反応条件、設備の稼働能力、原材料の供給制約、ライン切り替えや洗浄条件などの情報 |
採用している製品/サービス/技術 | 生産計画システム「Planium」(ALGO ARTIS製) |
稼働時期 | 2025年6月(PoCの開始時期) |