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スズキ、散在する社内データの全社活用に向けデータ仮想化基盤を整備

DIGITAL X 編集部
2025年7月25日

スズキがデータ統合に向けたデータ仮想化基盤の整備を進めている。全社員が、それぞれの業務に必要なデータを入手できるようにするのが目的だ。仮想化基盤の導入を支援するジールが2025年7月22日に発表した。

 スズキが整備を進めるのは、社内に散在するデータを統合するデータ仮想化基盤(図1)。全社員が、それぞれの業務で必要なデータをすぐに入手できるようにするのが目的だ。物理的にデータを統合させるETL(Extract Transform Load:収集、変換、加工)ツールの開発・運用を不要にしIT担当者の負荷軽減にもつなげる。

図1:スズキは社内データの統合に向けデータ仮想化基盤を整備している

 データ仮想化基盤にはBI(Business Intelligence)ツールを接続し、各部門がデータ分析に利用する。スズキでは各部門が必要なシステムをそれぞれが構築しており、データがサイロ化しているのが実状だ。そのため部門にまたがるデータを分析しようとすれば、その環境整備に10営業日がかかっていたという。仮想化基盤に接続済みのデータであれば即時に使用できるとしている。

 ジールによる事例記事によれば、スズキは2022年から「業界ナンバーワンのDX(デジタルトランスフォーメーション)チームになる」という目標を掲げ、データ活用に取り組んでいる。IT本部 ITシステム部 開発基盤・モデリング課の野田 宗裕 氏は「近年のモビリティ分野では、全社員自らがデータを活用し、いち早く現実を把握する力を獲得することが不可欠である。データ活用はIT部門だけでなく自分自身の課題であり『データを自分事として捉え自身で使いこなせなければならない』という意識が醸成されている」と強調する。

 今後のデータ活用について同課 主幹の菅沼 教多 氏は「現状は、全社に存在するデータソースに対し10%もカバーできていない。仮想化基盤を使えばすぐに接続できるため、データ統合の網羅性よりも、まずは各部門の業務課題の解決を優先する。リクエストされたデータソースへの接続に加え、その課題解決までのサポートを優先的に進める」としている。

 データ仮想化基盤には「Denodo V9 Enterprise Plus」(米Denodo Technologies製)を採用し、導入をジールが支援している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名スズキ
業種製造
地域静岡県浜松市(本社)
課題システムが縦割りでデータのサイロ化が進み、部門を横断したデータ活用が難しく、必要なデータを集めるために多くの手間と時間を要していた
解決の仕組みデータの仮想化基盤を整備し、各部門が必要なデータをすぐに入手できるようにする
推進母体/体制スズキ、米Denodo Technologies、ジール
活用しているデータ各部門が保有する業務データ
採用している製品/サービス/技術データ仮想化基盤「Denodo V9 Enterprise Plus」(米Denodo Technologies製)
稼働時期2023年4月(全社向け展開の開始時期)