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横浜市、食品ロス削減に向け冷蔵庫内を可視化するスマホアプリを実証実験

ANDG CO., LTD.
2025年8月1日

横浜市は、家庭で発生する食品ロスの削減に向け、冷蔵庫内にある食材を可視化するスマートフォン用アプリケーションの実証実験を開始する。カメラ付き冷蔵庫を使い、庫内をスマホアプリで閲覧できるようにすることで、市民の食材の買い忘れや重複購入を防ぎ、廃棄量の削減につなげる。2025年7月23日に発表した。

 横浜市が実証するのは、家庭にある冷蔵庫内の状況を可視化するスマートフォン用アプリケーション。AI(人工知能)カメラを搭載する冷蔵庫と連携し、食材の保管状況を記録・可視化することで、食材の消費期限切れや食べ忘れ、小売店店頭での買い忘れや重複購入を防ぐことで、家庭から発生する食品ロスの削減につなげたい考えだ(図1)。

図1:横浜市はAIカメラで撮影した冷蔵庫の状況をスマホアプリから確認できるようにすることで、家庭での食材ロスの削減につなげる。図はAIカメラ付き冷蔵庫とスマホアプリの画面例

 実証実験は市内の30世帯を対象に2025年10月14日から11月21日までパナソニック くらしアプライアンス社と共同で実施する。食品ロスに対する市民の意識・行動の変化を調査し、得られた結果を食品ロス削減に向けた啓発などに利用する。

 実験では、冷蔵庫上部にネットワークカメラ「NY-PCZE2」(パナソニック製)を設置し、ドアが開かれるたびに庫内を自動撮影する。画像は、冷蔵室、野菜室、冷凍室の別に切り出し、無線LAN経由でクラウドサーバーに送信する。

 クラウド上では、画像をAI技術で解析し、野菜室にある野菜の種類や、冷蔵庫に入れた日を基準に消費期限の目安などを算出したりする。結果はスマホアプリ「Live Pantry」(パナソニック製)から確認できる。早く消費したほうが良い食材をリスト化したり、そうした食材を使ったおすすめレシピを提案したりもする。

 横浜市によれば、同市における家庭系食品ロスは2023年(令和5年)度に約8万5000トンに上り、市民1人当たり年間約23キログラムを破棄していることになる。この量は、おにぎり約230個分、金額換算では約1万9000円に相当するという。

 今回の実験は、横浜市が進めるSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の達成および脱炭素社会の実現に向けた政策の一環。同市の環境政策と、パナソニックが掲げる「『より良いくらし』と『持続可能な地球環境』の両立」という企業理念が合致し、今回の共同実証に至ったとしている。

 横浜市は食品ロス削減に向けて、ホームセンター大手のカインズと日用雑貨製造のコジットとも提携し、それぞれの商品を使った実証も実施する。カインズは食品圧縮袋と圧縮用の手動ポンプを、コジットは野菜の鮮度を保持するツールをそれぞれ30世帯に提供し、利用動向をまとめる。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名横浜市
業種公共
地域横浜市
課題家庭からの食品ロスが年間約8万5000トン(2023年度)に上っており、食品の廃棄を減らせるよう市民の行動変容を促したい
解決の仕組み冷蔵庫内の食材をAIカメラで撮影し、食材の消費期限や消費の優先度をスマートフォン用アプリケーションから見られるようにすることで、食べ忘れや重複購入、買い忘れなどを防止する
推進母体/体制横浜市、パナソニック くらしアプライアンス社
活用しているデータAIカメラで撮影した冷蔵庫内の画像
採用している製品/サービス/技術ネットワークカメラ「NY-PCZE2」(パナソニック製)、スマホアプリ「Live Pantry」(同)
稼働時期2025年10月14日〜11月21日(実証期間)