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Osaka Metro、路線混雑状況を1週間先まで予測するAIサービスを開始

DIGITAL X 編集部
2025年8月8日

Osaka Metro(大阪市高速電気軌道)は、管轄する全路線の混雑状況を1週間先まで予測するサービスを2025年7月31日に開始した。スマートフォン用アプリケーションとHP(ホームページ)とで提供する。大阪・関西万博による混雑増が予想され、移動時間の調整や混雑回避の判断を支援し混雑緩和を図るのが目的だ。2025年7月25日に発表した。

 Osaka Metro(大阪市高速電気軌道)が2025年7月31日に提供を始めたのは、管轄する全路線の混雑状況を1週間先まで予測するサービス。大阪・関西万博の開催に伴い、会期終盤や通勤・通学のピーク時間帯での混雑激化が予想されている。乗客が利用路線や乗車時間を検討するための判断材料を提供することで、移動の分散や混雑緩和につなげたい考えだ。

 混雑の予測情報は、公式スマートフォンアプリケーション「e METRO」(Osaka Metro製)と公式ホームページで提供する。予測は、ラッシュ時間帯(7時~10時、17時~19時)は15分単位、それ以外の時間帯は30分単位で実施し、混雑度を(1)空席あり、(2)ゆったり立てる、(3)やや混雑、(4)混雑、(5)大変混雑の5段階で表示する(図1)。

図1:公式アプリ「e Metroアプリ」での混雑予測状況の画面例

 混雑度の予測モデルには、人間の脳の神経回路を模倣した機械学習手法の1つであるニューラルネットワークを採用している。駅改札でのICカードによる入出場データや、万博会場付近の駅の利用状況など、通常時とは大きく異なる動向を示すデータを重点的に学習させたという。

 2025年7月中旬に実施した事前検証では、AI(人工知能)技術による予測値と実際の混雑度が同じ傾向を示し、一定の精度が確認できたとしている(図2)。

図2:混雑予測サービスによる混雑度のAI予測値(オレンジ破線)と実績値(青線)の比較

 混雑予測サービスの開発には、システム開発を手掛けるJBCCが協力した。JBCCはデータやAI技術の活用スキルとマルチクラウド環境の構築実績から、サービスの構想策定からAIモデルの設計・開発・検証、UI(User Interface)の開発までを支援した。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名Osaka Metro(大阪市高速電気軌道)
業種交通
地域大阪市西区(本社)
課題大阪・関西万博の開催に伴い、会期終盤や通勤・通学の時間と重なる時間帯での混雑激化が予想されている
解決の仕組み全路線の混雑状況を1週間先まで予測し、公式アプリとHPとで提供し、乗車時間検討の判断材料を提供する
推進母体/体制Osaka Metro、JBCC
活用しているデータ駅改札でのICカード入出場データ、万博会場付近駅の利用実績など
採用している製品/サービス/技術ニューラルネットワーク
稼働時期2025年7月31日(サービス提供開始日)