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建設業の米Cosmic Buildings、南カルフォルニア火災の住宅再建に産業用ロボットを使う移動型工場を導入
建設業の米Cosmic Buildingsは、2025年に米・南カリフォルニアで起こった大規模な山火事に伴う住宅再建に向けて、移動型工場を設置し産業用ロボットを使った住宅建設システムを導入した。迅速かつ低コストな住宅供給モデルを構築する。産業用ロボットを提供するスイスABBの日本法人が2025年8月6日に発表した。
2025年に米・南カリフォルニアで起こった山火事に伴い、同地域の住宅再建を請負う米建設業のCosmic Buildingsが、早期の住宅供給を目的に移動型工場を設置し、産業用ロボットを使った住宅建設システムを稼働させた(写真1)。現場での手戻りを減らし、施工の効率化と品質確保を両立したとしている。産業用ロボットを使った新工法では、建設期間を最大70%、コストを約30%、それぞれ削減でき、12週間で住宅を完成させられるという。
産業用ロボットは、AI(人工知能)技術とコンピュータビジョンシステムと連携し、不具合箇所をリアルタイムに検出しながら、資材の運搬や設置を自律的に実行する。その前提として、工場のデジタルツインと住宅のBIM(Building Information Modeling:建築情報モデリング)を統合し、産業用ロボットの動きをシミュレーションしたうえで、最適な手順をプログラムしている。
移動型工場のシステム基盤には、スイスABB Roboticsの産業用ロボットアーム「IRB6710」とデジタルツインソフトウェア「RobotStudio」(同)をロボットワークステーションセルに組み込んでいる。
南米カリフォルニアの山火事では数千エーカーが焼失し、住宅やインフラに大きな被害が生じた。住宅再建を望む被災者は、保険金不足や受託再建コストの高騰に直面している。
移動型工場はカリフォルニア州パシフィック・パリセーズに設置し、不燃材を用いた住宅をモジュール形式で製造する。太陽光発電と蓄電池、独立型の給水システムを装備する。住宅価格は1平方メートルあたり550〜1000ドルに設定されている。Cosmicは2027年までに100戸の住宅建設を目標にする。
今後は、今回の再建支援にとどまらず、災害時に迅速に展開できる新しい住宅供給モデルとしての社会普及を目指すという。
企業/組織名 | 米Cosmic Buildings |
業種 | 製造 |
地域 | 米カリフォルニア州サンフランシスコ(本社) |
課題 | 山火事で住宅を失った被災者が、保険金不足や再建コストの高騰に直面するなかでの住宅再建を進めたい |
解決の仕組み | 自律型で動作する産業用ロボットを利用する移動型工場を設置し、現地近くで、住宅をモジュール構造で製造し、工期の短縮と品質確保を両立させる |
推進母体/体制 | 米Cosmic Buildings、スイスのABB Robotics |
活用しているデータ | 設計データ、施工シミュレーションデータ、コンピュータビジョンによるリアルタイム施工状況データ |
採用している製品/サービス/技術 | 産業用ロボットアーム「IRB6710」、(スイスのABB Robotics製)、デジタルツインソフトウエア「RobotStudio」(同) |
稼働時期 | -- |