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京阪電車、駅やコンタクトセンターの問い合わせに自動応答するAIシステムを導入

DIGITAL X 編集部
2025年9月8日

京阪電気鉄道(京阪電車)は、駅やコンタクトセンターへの問い合わせに自動応答するAI(人工知能)システムを導入した。インバウンド対応を含め沿線観光客からの問い合わせへの対応力を高める。AIシステムを開発したカラクリが2025年8月5日に発表した。

 京阪ホールディングス傘下の京阪電気鉄道(京阪電車)が導入したのは、駅やコンタクトセンターでの顧客からの問い合わせに自動応答するAI(人工知能)システム。インバウン需要の高まりによる沿線観光客の多言語対応やWebサイトでの顧客誘導などに利用する。駅員やオペレーターの負荷軽減に加え、90ある駅のうち半数以上で時間帯によって係員が不在になるため、同時間帯の案内機能を補完するのが目的だ。

 既に導入効果として、コンタクトセンターでは電話がつながる前に顧客が通話を切る放棄率が半減。Webサイトの多言語FAQ(よくある質問と答)の更新や管理工数も削減でき、インバウンド誘致に向けた情報提供に力を入れられるようになったとしている。

 AIシステムとしては、生成AI技術を使うAIエージェントと、機械学習型のAIチャットボットを使い分けている。

 AIエージェントは、顧客の質問への回答を生成する。京阪HDの公式Webサイトや登録済みの文書に対しRAG(Retrieval Augmented Generation:検索拡張生成)技術を使って該当情報を検索し、観光案内や沿線のイベント情報などに対応する。対応言語は、日本語のほか、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語の3つである。

 AIチャットボットは、輸送障害時の運行情報やICカード利用の可否など定型的なFAQ対応に特化する。主にオペレーターの負荷軽減が目的だが、10~20代の若年層顧客との接点創出にも成果が出ているとする。

 今後は、AIシステムの適用範囲を広げ、チャットボットによる忘れ物への24時間対応を可能にする計画だ。特別車両「プレミアムカー」を利用するための会員サービス「プレミアムカークラブ」のパスワードリセットなど、特定業務の受付にも適用していくほか、沿線の草刈りや樹木伐採の受付も検討する。GPS(全地球測位システム)情報を使い、対象地点の入力を容易にする方針である。

 AIシステムは、対顧客サービスを開発するカラクリのAIエージェント「Generative Navigator」とAIチャットボット「KARAKURI chatbot」を組み合わせている。カラクリは2024年から導入を支援している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名京阪ホールディングス/京阪電気鉄道
業種交通
地域大阪市中央区(本社)
課題インバウンド需要の高まりを受け、駅やコンタクトセンターでの多言語に対応した案内業務の負荷が高まっている。90ある駅のうち半数以上で時間帯によって係員が不在になり駅での案内ができない
解決の仕組みAIエージェントとAIチャットボットを組み合わせたシステム導入し、コンタクトセンターでの多言語での回答を自動生成したり、FAQの精度を高めたりする
推進母体/体制京阪ホールディングス、京阪電気鉄道、カラクリ
活用しているデータ電話やチャットによる顧客の問い合わせ内容、京阪公式Webサイトや観光情報・FAQなどの登録済み文書
採用している製品/サービス/技術AIエージェント「Generative Navigator」(カラクリ製)、AIチャットボット「KARAKURI chatbot」(同)
稼働時期2024年(システム構築開始時期)