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三井化学、生産・在庫管理の計画に数理最適化技術を使う仕組みを構築へ

DIGITAL X 編集部
2025年9月9日

三井化学は、生産・在庫管理の計画するための数理最適化技術を使った仕組みを構築する。需給バランスに応じた生産量の見直しや生産順序の最適化を進め、経験則や属人的なノウハウに頼らない計画策定を可能にする。グループ全体で年間数十億円規模の業務改善効果を見込んでいる。2025年8月21日に発表した。

 三井化学が構築するのは、生産・在庫管理を最適化するための仕組み。自社開発する「生産計画最適化プログラム」に数理最適化技術を組み合わせる。需給バランスの変動や多品種生産など複数の制約条件に対応し、経験則や属人的なノウハウに頼らない計画を可能にするのが目的だ。国内の複数拠点に展開し、1拠点当たり年間で数億円規模の、グループ全体では数十億円規模の改善効果を期待する。

 構築に向けたPoC(Proof of Concept:概念実証)を実施した。グループ国内拠点における樹脂製品の生産・在庫管理業務を対象に、月単位の生産量を需給バランスに応じてリアルタイムで見直し、在庫の過不足を抑制した。製品ごとの生産順序を最適化することで、製造過程でのロスや生産ラインの切り替えにかかる工数の削減など生産計画立案の高度化に取り組んだ。

 現在は、PoCの結果を基に、現場への実装を見据えた実運用フェーズへの移行を進めている。将来的には、生産・在庫管理だけでなく、物流ルートの最適化による物流ネットワーク全体の効率化や、販売計画の最適化といった領域への応用も視野に入れる。

 今回の仕組みの構築は、日鉄ソリューションズ(NSSOL)との協業によって進める。NSSOLは数理最適化アルゴリズムを提供する。両者は2024年秋から新たな仕組みの検討を進めてきた。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名三井化学
業種製造
地域東京都港区(本社)
課題需要変動や多品種生産に対応した生産・在庫計画の策定を最適化し、で製造上のロスや生産ラインの切り替え工数を削減したい
解決の仕組み自社開発した生産計画最適化プログラムに数理最適化技術を組み合わせ、生産スケジュール・在庫・原材料情報などの複数の制約条件を基に意思決定する仕組みを構築する
推進母体/体制三井化学、日鉄ソリューションズ(NSSOL)
活用しているデータ生産スケジュール・在庫情報、原材料情報、需給予測データなど
採用している製品/サービス/技術「生産計画最適化プログラム」(三井化学製)、数理最適化技術(NSSOL製)
稼働時期2024年(NSSOLとの協業開始時期)