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サントリー、大阪工場の原料酒製造エリアに原料ハンドリングロボとAMRを導入

DIGITAL X 編集部
2025年9月11日

サントリーは、原料酒製造エリアにハンドリングロボットとAMR(Autonomous Mobile Robot:自律走行搬送ロボット)などを導入し原料の搬送を自動化した。現場の負荷を軽減し、品質と生産性を高めるための時間を捻出するのが狙い。2025年8月26日に発表した。

 サントリーは大阪工場の原料酒製造エリア「スピリッツ・リキュール工房」の建て替えに伴い、倉庫から原料を運搬・投入するまでの工程に、原料ハンドリングロボットとAMR(Autonomous Mobile Robot:自律走行搬送ロボットシステム)を導入した(図1)。人による運搬・投入と比べ作業時間を3分の1に短縮し、年間約2000時間の削減を見込んでいる。工房へは2024年から2025年の間に55億円の設備投資を実施しており、ロボット/AMRの導入は、その一環。

図1:サントリーが大阪工場の「スピリッツ・リキュール工房」に導入した原料ハンドリングロボット

 原料ハンドリングロボットはまず原料の形状AI(人工知能)カメラで撮影し判定する。原料は、段ボールやクラフト袋、バケツに入っており、冷凍や乾燥など状態が異なるためだ。判定結果に合わせて原料をつかむハンドを自動で持ち替え、開梱・荷下ろしなどを実行する。荷下ろした原料はAMR(Phoxter製)が目的地までの最適かつ最短のルートを選択して運搬する(図2)。

図2:原料を運搬するAMR(Autonomous Mobile Robot:自律走行搬送ロボット)

 さらに搬送した原料を製造装置に投入する前には、外観異常や原料の腐敗などをAI技術を使って検知する。今後は、データの蓄積を進め品質保証のための仕組みを改善していく方針だ。

 スピリッツ・リキュール工房ではこれまで、運搬から荷下ろし、開梱、計量、投入までを現場の技術者が対応しており、単調な繰り返し作業が負荷になっていた。新工房では、原料酒の開発に関われる時間を増やし、原料酒の作り込み込みに関与できるようにする。現場技術者と中味の開発者が連携し開発生産一体化も進める。

 原料ハンドリングロボットとAMRの導入は安川電機などが支援した。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名サントリー
業種製造
地域大阪市港区(大阪工場)
課題運搬から荷下ろし、開梱、計量、投入といった作業を人手で実施しており、技術者が原料酒の開発に取り組む時間が損なわれていた
解決の仕組み原料の搬出から製造装置に投入するまでの工程を原料ハンドリングロボットとAMRにより自動化する。原料投入前の検査もAI(人工知能)技術で自動化する
推進母体/体制サントリー、安川電機、Phoxter
活用しているデータ梱包形状、原料の状態や外観、工場内の地図
採用している製品/サービス/技術--
稼働時期2025年6月(「スピリッツ・リキュール工房」の建て替え完了時期)