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森永製菓、中小の事業継承などに向け現場を360度天球写真で可視化するサービスを社内公募で事業化
森永製菓が、中小企業の事業継承や技能伝承などに向けて、工場内を360度天球写真で可視化するサービスを2025年9月8日に開始した。社内の公募制度により事業化したサービスで、中小の食品工場などを中心に提供する。同日に発表した。
森永製菓の「ミテツグ」は、工場などの現場を360度天球写真で可視化する(図1)。場内を全方位で確認できるため属人化している技能や知見の把握が容易になり、事業承継や技術伝承、人材教育、企業PRなどに利用できるとしている。サービス名のミテツグは「見て・継ぐ」に由来する。
ミテツグでは、まず360度天球カメラで工場内を撮影し、可視化ツールに取り込む。ツール上で、画像の特定箇所に関連する書類や写真、作業手順を解説した動画などを紐づけていく。撮影場所の情報を直感的に探せるようにし、属人化しやすい情報を可視化できるという。
オプションで、天球写真の撮影や、動画マニュアルや企業紹介・PR動画の作成、動画関連技術の習得支援にも対応する。そのうえで、業務改善用アプリケーションの紹介や補助金・助成金の申請支援、森永製菓の建築エンジニアによる工場建築の支援も提供する。今後は、製造品質や安全面の課題解決を支援するためのサービスの提供も検討している。
サービス開始に先立ち、菓子メーカーの小浜食糧(長崎県雲仙市)が2025年2月から先行導入している。工場長が管理してきた製造や発注·在庫管理などの情報をミテツグ上で図や写真、動画として確認できるようにしたという。
導入効果について小浜食糧 常務の金澤 氏は「書類情報を一覧化し関係図にすることで明確に把握できた。作業状況を動画にすることで、誤解なく把握できるようになったほか、社内でも知られていなかった作業手順を知るきっかけにもなった」と話す。工場長の吉田 氏は「言葉では伝え切れないことを“見える形”にして伝えられる効果は大きい」とする。
ミテツグは、森永製菓の社内公募制度に基づく新規事業。起案者の新規事業開発部 髙橋 氏は「20社近くの企業に訪問し、工場の老朽化に加え「キーパーソンの高齢化と知識や経験の属人化」や「属人化した情報のアウトプットや継承の手段がない」という課題を知った。中小企業が抱える工場の老朽化という課題の解決に伴走を軸にサービスを提供する」としている。
企業/組織名 | 森永製菓 |
業種 | 製造 |
地域 | 東京都港区(本社) |
課題 | 操業から120年超の事業展開の中で得た信頼と技術を生かした新規事業を立ち上げたい |
解決の仕組み | 社内公募から選んだ中小企業の事業継承や技術伝承、情報の属人化といった課題の解決策として、工場などの現場を360度天球写真で可視化するた課題を解決するサービスを提供する |
推進母体/体制 | 森永製菓 |
活用しているデータ | 工場内の撮影画像、書類、写真、作業手順の解説動画など |
採用している製品/サービス/技術 | 360度天球写真 |
稼働時期 | 2025年9月8日(サービス開始日) |