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東京メトロ、CBMに向けレールの腐食を検知するAIシステムを開発

DIGITAL X 編集部
2025年10月3日

東京メトロは、レールの腐食を画像から検知するAI(人工知能)システムを開発した。2025年8月から東京メトロ千代田線で運用を始めている。CBM(状態基準保全)への移行をにらんだものだ。2025年9月26日に発表した。

 東京メトロが開発したのは、レールの画像から腐食の位置や大きさを検知するためのAI(人工知能)システム(図1)。東京メトロ千代田線で2025年8月から運用を始めている。東京メトロは、車両や軌道、トンネルを対象にCBM(Condition Based Maintenance:状態基準保全)の技術開発を進めている。今回のシステムは軌道CBMの一環だ。河川や濠に近接する区間では湿潤環境によってレールの腐食が進みやすく、その管理が重要になっている。

図1:レールの腐食部分の検知イメージ

 レールの画像は、営業列車に搭載した線路設備モニタリング装置で撮影する。その画像を元にディープラーニングを搭載した機械学習ソフトウェアにより対象領域をピクセル単位で抽出する(図2)。

図2:東京メトロが開発したレールの画像から腐食を検知するシステムの構成

 検知システムは、NECとNEC通信システムと共同で開発した。2019年度~2021年度に東京メトロ千代田線の北千住駅と町屋駅の間で検証し、2023年度にNEC通信システムの「映像点検監視基盤」とNECの機械学習ソフトウェア「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習」を使って検知システムを開発した。2024年度に精度向上と追加検証を進め、2025年4月から千代田線への導入に向けた試験運用を実施していた。

 今後は、腐食検知に加え、保線業務全般への活用を進めるとともに、他路線への拡大も予定する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名東京メトロ
業種交通
地域東京都足立区、荒川区、文京区、千代田区、港区、渋谷区(東京メトロ千代田線)
課題軌道のメンテナンス業務を効率化・最適化するためにCBM(状態基準保全)を採り入れたい。特に河川や濠に近接する区間では湿潤環境によってレールの腐食が進みやすく、その管理が重要になっている
解決の仕組み営業車両で撮影するレールの画像から腐食を検知できるようにする
推進母体/体制東京メトロ、NEC、NEC通信システム
活用しているデータレールの画像
採用している製品/サービス/技術機械学習ソフトウェア「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習」(NEC製)、「映像点検監視基盤」(NEC通信システム製)
稼働時期2025年8月(千代田線での運用開始時期)