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九州電力、石炭受払計画の策定時間をAIシステムにより4分の1以下に短縮
九州電力は、石炭受払計画を自動作成するAI(人工知能)システムの運用を始めている。熟練者が担当してきた計画策定時間を4分の1以下に短縮する。システムを開発したグリッドが2025年9月16日に発表した。
九州電力が運用するのは石炭の受払計画を自動作成するためのAI(人工知能)システム(図1)。苓北(れいほく)発電所(熊本県天草郡苓北町)で2024年8月に、松浦発電所(長崎県松浦市)で2025年8月に、それぞれ運用を開始した。
計画作成システムでは、品質が異なる複数の炭を混ぜる「混炭」の制約や、貯炭場の配置、設備の運用条件、配船情報など基に最適な日時計画を策定する。計画策定と運用変化に伴う計画の見直しにかかっていた時間を年間で4分の1ほどに短縮し、担当者の業務負荷軽減を図る。
システム導入に併せて、計画策定プロセスを標準化した。担当者ごとの経験や知識に依存することなく、誰もが同等の品質で計画を立案できる体制にした。担当者の教育や業務の引き継ぎにかかるコストの削減も期待する。さらに混炭可能な石炭の組み合わせの計画的な確保にも本システムを利用することで、発電所の安定稼働を支援するとしている。
九州電力の石炭火力発電所では、海外から輸入した石炭を貯炭場に積み付け、日々の発電量に応じてボイラーに払い出している。払い出し時には、混炭率の決定と同時に、現在の発電需要だけでなく、今後の運用に支障が出ないよう石炭を適切に積み残す必要がある。
これまで、熟練者が計画を立案してきたが、石炭の種類や混炭の可否、バースの空き状況、貯炭容量など多くの条件を考慮する必要があるほか、気象や船便の遅延、電力需要の変動によって頻繁な修正が求められ、高度な判断と多大な労力を要していた。
システムはAI技術を手掛けるグリッドが開発した。
企業/組織名 | 九州電力 |
業種 | 公共 |
地域 | 熊本県天草郡苓北町(苓北発電所)、長崎県松浦市(松浦発電所) |
課題 | 石炭受払計画の作成にかかる時間を短縮し業務負荷を軽減したい |
解決の仕組み | 石炭受払計画を自動で作成するAIシステムを導入する |
推進母体/体制 | 九州電力、グリッド |
活用しているデータ | 混炭制約、貯炭場配置、設備運用条件、配船情報などのデータ |
採用している製品/サービス/技術 | -- |
稼働時期 | 2024年8月(苓北発電所)、2025年8月(松浦発電所) |