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FWD生命保険、新規申し込み時の医務査定に生成AIシステムを導入
FWD生命保険は、保険の新規申し込み時の医務査定業務に生成AI(人工知能)システムを導入した。申込書や医療告知書などを解析し、査定担当者に要約結果や査定案を提示する。平均で3割の査定時間短縮が図れているという。2025年10月2日に発表した。
FWD生命保険が導入した「AIによる医務査定サポート」は、保険の新規申し込み時の医務査定業務のための生成AI(人工知能)システム(図1)。査定担当者に必要な情報や査定案を提示し、査定時間を短縮するのが目的だ。これまでに平均で3割、査定時間を短縮できているとする。
生成AIシステムは、新規申し込みを受けると、まずは基本的なルールに基づき1次チェックを実施後、提出された保険申込書や医療告知書などから査定に必要な情報を抽出し、その要約を査定担当者に提示する。紙の帳票はOCR(Optical Character Recognition:光学式文字認識)技術でテキストデータに変換する。
加えて、過去の査定結果などを踏まえた査定の推奨結果を提示する。判断のために過去の査定データを学習したほか、社内の医務査定ガイドラインや外部の医療情報サイトをRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)技術で参照し、査定の根拠も提示する。査定担当者は推奨結果を見ながら最終判断を下す。
システムの対象になる保険商品は「FWD医療Ⅱ」「FWD収入保障」「FWD終身(低解約返戻金型)」の3つ。新規申し込みの約7割はオンラインで完結する「ペーパーレス・モバイルペーパーレスシステム」と「自動医務査定システム」で対応しているが、残る約3割は査定担当者が対応している。査定には被保険者の健康状態や既往歴などを総合的に判断できるスキルが求められ、契約確定までに時間を要していた。
今後は、生成AIモデルの精度を高めるとともに、査定担当者へのリスキリング(職能再教育)を進め、業務効率化の効果を5割へと拡大したい考えだ。
FWD生命保険はアジア10地域に事業を展開し、直近では200万件を超える契約を有している。
企業/組織名 | FWD生命保険 |
業種 | 金融・保険 |
地域 | 東京都中央区(本社) |
課題 | 新規申し込み時の医務査定業務において、オンラインによる自動査定が対応できていない案件に対し、査定担当者による査定時間を短縮したい |
解決の仕組み | 保険申込書や医療告知書を生成AI技術で解析し、査定担当者に必要な情報の要約と査定案を提示し、判断を支援する |
推進母体/体制 | FWD生命保険 |
活用しているデータ | 医療告知書、保険申込書、過去の査定判断データ |
採用している製品/サービス/技術 | 生成AI技術 |
稼働時期 | -- |