• UseCase
  • 製造

富士フイルム、製造終了製品の補修用部品の需要予測ツールを開発へ

DIGITAL X 編集部
2025年10月21日

富士フイルムが、製造が終了した製品の補修用部品(アフターパーツ)を対象にした需要予測ツールの開発を進めている。部品の種類や役割ごとの需要を予測し、適正在庫を維持できるようにするのが狙い。デジタルカメラ分野での本格運用を目指す。ツールの設計とデータ分析基盤の構築を支援するNECが2025年10月2日に発表した。

 富士フイルムが開発するのは、製造が終了した製品の顧客サポートのために供給を続けている補修用部品(アフターパーツ)需要予測ツール。在庫の不足や過剰を防ぎ適正な在庫量を維持しながら供給を安定させるのが目的だ。デジタルカメラ分野への本格運用を検討する。

 需要予測に向けては、補修用部品の種類や役割ごとの特徴を学習させた予測モデルを開発した(図1)。同モデルを使って保守対応期間に必要な部品の数量を予測し、製品の製造終了時に一括購入して在庫にする計画だ。

図1:富士フイルムは保守対応期間に必要な補修用部品の需要を予測し適正な在庫を確保する

 加えて、SCM(Supply Chain Management:サプライチェーン管理)やS&OP(Sales and Operations Planning:販売・操業計画)の考え方を取り入れ、データサイエンスに基づいた在庫運用の高度化を図る。在庫削減にとどまらず、将来的な部品需要を見据えた供給戦略を立案する。

 需要予測ツールの実証実験を、デジタルカメラ用の補修用部品、約1800種類を対象に2024年12月から2025年5月にかけて実施した。結果、従来の在庫管理手法と比べ予測精度が大幅に向上。また適切な保有量に分類できる部品点数が従来比で2.7倍に増加した。過剰在庫を抑えつつ欠品リスクを低減することで補修部品のサービスの安定提供につながる見通しを得られたとする。

 需要予測ツールの開発は、AI技術およびデータ分析の側面からNECが支援した。SCMやS&OP領域での知見も提供し、予測モデルの設計とデータ分析基盤の構築を手掛けたという。

 NECによれば、製造終了品の補修用部品の管理は多くの製造業にとって、製造終了後も一定期間、顧客対応を継続するために必要な業務ながら、過剰在庫は保管コストを押し上げ、逆に在庫切れだと修理対応が滞るなど課題になっている。特に在庫切れになると、金型の作り直しや代替部品の調達に多くの時間と費用がかかるため、適正在庫の維持が企業経営の効率性に直結する。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名富士フイルム
業種製造
地域東京都港区(本社)
課題製造が終了した製品の保守対応において、保守対応の効率やコストに影響する補修用部品(アフターパーツ)の在庫を適正管理したい
解決の仕組み補修用部品の種類や役割ごとの需要を予測するモデルを利用し、保守対応期間に必要な在庫量を算出する
推進母体/体制富士フイルム、NEC
活用しているデータアフターパーツごとの種類や役割
採用している製品/サービス/技術需要予測のためのAI技術
稼働時期--