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トヨタ、工場での量産車の無人走行のためのセンサー配置をデジタルツインでシミュレーション

DIGITAL X 編集部
2025年10月24日

トヨタ自動車は、工場内で量産車を無人走行させるためのセンサーの配置を工場のデジタルツイン上でシミュレーションし最適化するためのアルゴリズムを開発した。工場の構造物や作業動線を考慮したうえでコストを抑えながら検知性能を高められる配置を探索する。アルゴリズムの開発に協力したアイクリスタルが2025年10月8日に発表した。

 トヨタ自動車は、工場内で量産車を無人走行させて搬送するための遠隔制御送システム「Telemotion」を開発し2022年から運用している。このほど、場内に設置するセンサーの位置を最適化するためのアルゴリズムを開発した。工場を再現したデジタルツイン上で構造物や設備の位置、作業者の動線などを考慮しながらシミュレーションを繰り返し、センサーの台数やコストを最小限に抑えられる配置を見つけ出す(写真1)。無人走行が可能な範囲を広げるのが目的だ。

写真1:デジタルツイン環境に再現したトヨタ自動車の量産工場の様子

 トヨタは工場内で、量産車を無人走行させて搬送している(写真2)。従来、設備や柱などの障害物、および作業者の往来に対応するために、新しい工程で無人走行させるには、センサーの位置や数、検知範囲を人手で検討していた。安全性やコストなどを考慮するためには大量のパラメーターを検証しなければならず工数がかかっていた。

図2:車両遠隔制御自律走行搬送システム「Telemotion」による工場構内の車両の自律走行の様子

 アルゴリズムの開発は、製造プロセスの最適化を手掛ける名古屋大学発スタートアップのアイクリスタルが協力し、数理最適化技術を応用した解析手法を提供した。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名トヨタ自動車
業種製造
地域愛知県豊田市(本社)
課題工場内で量産車を無人走行可能な範囲を検討する際には、必要なセンサーの位置や数、検知範囲の検討が必要で人手では工数がかかっていた
解決の仕組み工場を再現したデジタルツイン上でセンサーの配置を構造物や作業者動線などを考慮しながらシミュレーションする
推進母体/体制トヨタ自動車、アイクリスタル
活用しているデータ工場の3次元モデル(設備や柱などの障害物位置、作業者の動線など)
採用している製品/サービス/技術デジタルツイン技術、数理最適化技術(アイクリスタルが提供)
稼働時期--