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韓国・現代自動車グループ、次世代スマートファクトリーに向け米NVIDIAと提携
韓国の現代自動車(Hyundai Motor)グループは次世代スマートファクトリーの実現に向け米NVIDIAと提携した。工場のデジタルツインを構築し、自動化やロボティクスによる生産性の向上を図る。韓国政府とも連携し、フィジカルAI(人工知能)産業の強化および国内のAI人材育成を推進する。米NVIDIAが2025年10月30日に発表した。
韓国の現代自動車(Hyundai Motor)グループは米NVIDIAと提携し、モビリティ分野におけるAI(人工知能)機能および次世代スマートファクトリーの開発、および車載用半導体の技術革新に取り組む。
そのための両者はNVIDIA製GPU(Graphic Processing Unit:画像処理装置)「Blackwell」を5万基を使った統合AIモデルの学習と検証、展開を目指す。Blackwellを基盤にDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に不可欠なインフラを展開し、車載AIから自動運転、工場の自動化、ロボティクスまでを統合する単一のエコシステムを構築する計画だ。
次世代スマートファクトリーとしては、NVIDIAが提供するデジタルツイン環境「Omniverse Enterpriseプラットフォーム」を使い工場のデータを統合・管理。精密制御や、ソフトウェアおよびハードウェアの検証、離散事象のシミュレーション、仮想試運転などを実現する。
これにより、ロボット統合の加速や生産の最適化、予知保全、完全自律型のソフトウェア定義型工場などを可能にし、車両の設計と生産方法を再構築するとしている。
Omniverse Enterpriseでは、人型ロボットや各種ロボットにも適用され、生産ラインへのロボット導入の前に、タスクの割り当てや動作計画、人間工学に基づく安全性などの検証を可能にする。
SDV(Softeware Defined Vehicle:ソフトウェア定義自動車)に対しては、NVIDIAの仕組みを使ったOTA(Over The Air)によるソフトウェア更新のほか、自動運転やインフォテインメントなどのための車載用AIエージェントを開発する。基本ソフトウェア(OS)にも「NVIDIA DriveOS」を採用する。
現代自動車の執行会長である鄭義宣(チョン・ウィソン)氏は「AI技術を活用したモビリティとスマートファクトリーの新時代を迎えるにあたり、NVIDIAとのコラボレーションを拡大させることは重要な一歩になる」と話す。
なお両者は韓国政府とも連携し、エコシステムの開発を加速させ、政府が進めるフィジカルAIクラスターの構築を支援する。韓国のフィジカルAI環境の強化に向けて現代自動車グループと韓国政府は30億ドルを共同で投資する予定である。
具体的にはNVIDIAの「AIテクノロジーセンター」や現代自動車の「フィジカルAIアプリケーションセンター」、および地域のデータセンターなどを設立し、韓国のフィジカルAI産業の強化に必要なフィジカルAI人材を育成する。
韓国の科学技術副総理 兼 科学技術情報通信部長官の裵慶勳(ペ・ギョンフン)氏は「韓国がAI先進国として飛躍するためにはフィジカルAIの発展が不可欠だ。これは科学技術情報通信部が推進する重要な国家施策でもある。官民協力によるフィジカルAI育成の第一歩は、非常に意義深い。韓国は製造業において強固な基盤を有しており、豊富な製造データとNVIDIAのAIインフラを組み合わせることで、国内企業との協業を通じたWin-Winのモデルを構築し、産業全体での製造AI変革を加速できると期待している」と述べている。
| 企業/組織名 | 韓国・現代自動車グループ |
| 業種 | 製造 |
| 地域 | 韓国ソウル(本社) |
| 課題 | EV(電気自動車)化、SDV(ソフトウェア定義自動車)化に向けて次世代スマートファクトリーを構築したい |
| 解決の仕組み | 米NVIDIAと提携し工場のデジタルツイン環境を構築しEV/SDV時代のモビリティ開発に向けた生産性を高める |
| 推進母体/体制 | 韓国・現代自動車グループ、米NVIDIA、韓国政府 |
| 活用しているデータ | |
| 採用している製品/サービス/技術 | AIモデル実行用GPU「NVIDIA Blackwell GPU」(米NVIDA製)、デジタルツイン環境「NVIDIA Omniverse Enterprise」(同) |
| 稼働時期 | -- |