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トヨタ紡織、対象者に合わせてロボットの力加減や動きを生成する技術基盤をモーションリブと共同開発
トヨタ紡織は、対象者の体格などに合わせてロボットの力加減や動きを生成する技術基盤を力触覚技術を手掛けるモーションリブと共同開発した。手を使ってメンタルケアを実施するセラピューティックケアへの利用を研究対象に実現した。種々のUX(User Experience:顧客体験)の向上への適用を想定する。モーションリブが2025年10月28日に発表した。
自動車用シートなどを手掛けるトヨタ紡織が開発したのは、ロボットが人に触れた際に、その人が感じる力加減や触感を個々人に合わせて生成するための技術基盤。画一的にロボットを動作させるのではなく、対象者1人ひとりの体格や感性に応じて動作させるのが目的だ(写真1)。ウェルネス分野での個々人に最適化した施術の提供や、製造分野における技能伝承などへの応用を期待する。
技術基盤は(1)デジタルツイン上での動作シミュレーションと(2)利用者に最適な動作の生成の2つを可能にする。動作シミュレーションでは、デジタルツイン上に人と機械の3D(3次元)モデルを構築し、実機を用いることなく力感覚を伴うロボットの動作を再現する。安全性や効果を事前に検証しながら、質の高い触覚コンテンツの開発が可能になるという。
利用者に最適な動作の生成では今回、触れることによるメンタルケア手法である「セラピューティック・ケア」の熟練セラピストの施術動作をデータ化し、その特徴をニューラルネットワークを用いたAI(人工知能)モデルに学習させた。同AIモデルに、対象者の肩幅といった身体的特徴を入力すれば、その人に適した力加減や動きを生成する。
基本技術には、慶應義塾大学発スタートアップのモーションリブが開発する力触制御技術「リアルハプティクス」を利用している。両者は2022年から力触覚の伝達・再現に関する共同研究に取り組んでおり、遠隔操作技術と組み合わせたタッチセラピー体験への適用を研究してきた。
モーションリブによると、少子高齢化に伴う労働人口の減少やライフスタイルの多様化が進むなか、製造現場での技能や個人のニーズに合わせた高品質なサービスの提供が喫緊の課題になっており、体験価値を高めるには個別最適化の技術が欠かせない。
| 企業/組織名 | トヨタ紡織 |
| 業種 | 製造 |
| 地域 | 愛知県刈谷市(本社) |
| 課題 | ロボットを遠隔操作する際の力触覚をパーソナライズしたい |
| 解決の仕組み | 熟練者の動作をデータ化し、それを学習したAIモデルによって対象者の身体情報に基づいた最適な動作を生成する |
| 推進母体/体制 | トヨタ紡織、モーションリブ |
| 活用しているデータ | 熟練セラピストの施術動作、対象者の身体情報など |
| 採用している製品/サービス/技術 | 力触覚制御技術「リアルハプティクス」(モーションリブ製) |
| 稼働時期 | -- |
