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戸田建設、建物の維持管理業務に清掃ロボットによる点検・検知を実証
戸田建設は、建物の維持管理業務を対象に清掃ロボットによる巡回業務の実施を実証実験した。1台の清掃ロボットで、清掃をしながら建物の点検と異常の検知、データの取得を実施し、取得したデータが維持管理業務の効率化や高度化にどの程度寄与するかを確認した。2025年11月10日に発表した。
戸田建設が実施したのは、建物の維持管理業務において、清掃ロボットによる建物の点検や異常の検知、データ取得の実証実験(図1)。1台のロボットが複数業務を実行しながら取得した映像や画像、センサーデータが、建物の維持管理の効率化や高度化に生かせるかどうかをについて確認した。既存建築物の維持・再生に向けた高付加価値サービスを提供するのが目的だ。
実験では、業務用清掃ロボットの上部にカメラやサーモカメラ、センサーなどを設置し、戸田建設本社(東京都中央区)の8階にある同社ミュージアム内を走行させた(写真1)。
清掃以外のタスクとしては(1)メーターの点検、(2)落下物の検知、(3)機器の発熱異常検知、(4)不審者検知、(5)建築・構造物のデータ化となどを実行させた。(1)〜(4)の点検・検知はカメラ画像の認識によるもの。(5)建築・構造物のデータ化では、レーザー光を使うLiDAR(Light Detection And Ranging:光による検知と測距)で周囲をスキャンし3D(3次元)点群データを作成した。
清掃ロボットはCYBERDYNEが提供した。実証にはCYBERDYNEのほか、川崎重工業、制御ロボットを受託開発するキビテク、ソフトウェア開発のセック、産業技術総合研究所(AIST)、名城大学が参加した。
今後は、今回得られた知見を基に、ロボットの多機能化やデータ活用の高度化を進める。総合建設業としての技術力・ノウハウに、ロボットやセンサー、AI(人工知能)技術によるデータ活用を組み合わせることで、改修工事や維持管理業務の効率化・高度化につなげたい考えである。
戸田建設によると、建設業界では既存建物の維持・再生の重要度が高まっている。維持管理業務の多さに対して技能労働者の確保が難しく、点検・監視業務での生産性向上が求められている。
| 企業/組織名 | 戸田建設 |
| 業種 | 製造 |
| 地域 | 東京都中央区(本社) |
| 課題 | 既存建物の維持・再生の重要度が高まる一方で、維持管理業務に当たる技能労働者の確保が難しい |
| 解決の仕組み | 清掃ロボットをマルチタスク化し清掃しながら点検や検知、建物のデータ取得などを並行で実施することで維持管理業務の効率を高める |
| 推進母体/体制 | 戸田建設、CYBERDYNE、川崎重工業、キビテク、セック、産業技術総合研究所、名城大学 |
| 活用しているデータ | ロボット搭載のカメラで撮影した画像・映像、LiDARによる3次元点群データ、サーモカメラによる発熱状態など |
| 採用している製品/サービス/技術 | 業務用清掃ロボット(CYBERDYNE製) |
| 稼働時期 | -- |

