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埼玉高速鉄道、線路の状態監視データを走行中に集めるシステムを導入しCBMに移行

DIGITAL X 編集部
2025年11月26日

埼玉高速鉄道は、線路の状態監視のためのデータを営業走行中に集めるシステムを2026年6月から導入し、保守体制をCBM(Condition Based Maintenance:状態基準保全)に移行する。相互直通区間で乗り入れる東急電鉄製の仕組みを導入し、各社が共通基盤上でデータを運用する。2025年11月18日に発表した。

 埼玉高速鉄道は2026年6月から、埼玉スタジアム線(赤羽岩淵駅~浦和美園駅)に、線路の状態監視に必要なデータを営業走行中に集めるシステムを導入する。これまでの点検間隔を元にしたTBM(Time Based Maintenance:時間基準保全)から、線路の状態に併せて保守するCBM(Condition Based Maintenance:状態基準保全)に移行し、軌道保守業務の効率と精度を高める。

 導入するのは、相互直通乗り入れを実施している東急電鉄が利用しているシステム。車両に搭載する「軌道材料モニタリング装置」を借り受け、収集したデータは各社が共通に利用するデータ管理基盤で管理し、保線管理システム「RAMos+(ラモスプラス)」(日本線路技術製)で状態を監視する(写真1)。

写真1:車両の床下に設置した「軌道材料モニタリング装置」

 軌道材料モニタリング装置は、車両の床下に搭載し、上下線の軌道延長計29.2キロメートルを対象に、レールやまくら木など軌道材料の状態を示すデータを取得する。日々の運行から線路のゆがみや部材の変化などを捉える。営業列車で実施するため、専用の測定列車を走らせる必要がない。

 同システムはまず、東急電鉄の東急目黒線と東急新横浜線で稼働し、2024年6月からは相互直通区間である東京メトロの南北線でも運用が始まっている。今回の埼玉高速鉄道に続き2026年3月には、乗り入れの延長区間である相模鉄道の新横浜線でも運用を開始する予定である(図1)。

図1:相互直通運転ネットワークにおけるデータ測定区間とシステムの導入スケジュール

 鉄道各社は、保線管理アプリケーションを共通のデータ基盤上で運用している。保線管理のためのシステム開発費を抑えながら、直通区間内で同じ方式で路線データを扱う。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名埼玉高速鉄道
業種交通
地域東京都北区、埼玉県川口市、同さいたま市(埼玉スタジアム線の赤羽岩淵駅~浦和美園駅)
課題線路設備の保全業務をCBM(状態基準保全)に移行し、業務の効率と精度を高めたい
解決の仕組み営業列車に線路やまくら木の状態を示すデータを取得する装置を設置し、専用列車を用いずに線路の状態を記録し、線路のゆがみや部材の変化などを早期に捉えられるようにする
推進母体/体制埼玉高速鉄道、東急電鉄、東京地下鉄(東京メトロ)、日本線路技術
活用しているデータ軌道材料の状態データ
採用している製品/サービス/技術軌道材料モニタリング装置(東急電鉄が提供)、保線管理システム「RAMos+」(日本線路技術製)
稼働時期2026年6月(導入予定時期)