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デンソー、3D CADデータから組み立て工程を自動生成するAI基盤を開発し外販へ
デンソーは、製造物の3D CAD(3次元のコンピューターによる設計)データから組み立て工程と作業手順書を自動生成するAI(人工知能)基盤を開発する。自社利用のほか、2026年4月までにSaaS(Software as a Service)としての外販を開始する計画だ。工程設計の速度と品質を高め、製造準備のリードタイムを短縮できるとする。共同開発するSceneが2025年11月18日に発表した。
デンソーが製造業向けのデータ基盤を手掛けるSceneと共同で開発するのは、製造物の3D CAD(3次元のコンピューターによる設計)データから組み立て工程と作業手順書を生成するAI(人工知能)基盤。工程設計の速度と品質を高め、製造準備にかかるリードタイムを短縮できるとする。
デンソー社内では、担当者の技能や経験に依存しない工程設計の環境を組織全体として整えることで、ノウハウの蓄積と共有を促したい考えである。加えて2026年4月までにSaaS(Software as a Service)としての外販も始める計画だ。
開発するAI基盤では、取り込んだ3D CADデータを解析してMBOM(Manufacturing Bill of Materials:製造部品表)を生成する(図1)。MBOMは、組み立て順序や作業で使用する工具・治具を含めた工程視点の部品表で、製造の起点になる情報である。
生成したMBOMを基に、部品の形状や組み付け順序を解析し、3Dアニメーション付きの作業書を生成する(図2)。製造担当者はPCやタブレットで作業書を閲覧し、ねじやスパナといった必要部品や工具の使い方、紙のマニュアルでは伝わりにくい台座を固定する際などの動きや角度を確認できる。
デンソーはこれまでに、3D CADデータを使う手順書作成ツール「3D Docs」(Scene製)を工機部に導入し、文書作成のデジタル化と作成の効率化を進めてきた。今回のAI基盤開発は、3D DocsにAI機能を搭載するとともに対象を工程設計にまで拡張して実現する。
Sceneによれば、作業手順書は、熟練担当者がCADデータを確認しながら組み立てた手順を元に、自身のノウハウや知見による表現や観点から文章や画像に整理している。
| 企業/組織名 | デンソー |
| 業種 | 製造 |
| 地域 | 愛知県刈谷市(本社) |
| 課題 | 工程設計における熟練者依存から脱却し、組織として対応できるようにし製造準備のリードタイムを短縮したい |
| 解決の仕組み | 3D CADデータをAI技術で解析し、組み立て工程のためのMBOMと3Dアニメーションによる作業手順書を自動で生成する |
| 推進母体/体制 | デンソー、Scene |
| 活用しているデータ | 3D CADデータ |
| 採用している製品/サービス/技術 | 「3D Docs」(Scene製) |
| 稼働時期 | 2026年4月(SaaSとしての外販予定時期) |

