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鴻池運輸、現場主導の生成AI活用に向けたプロジェクトを本格始動

DIGITAL X 編集部
2025年12月5日

鴻池運輸が現場主導で生成AI(人工知能)技術を活用するためのプロジェクトを本格始動した。インフラ基盤の整備に加え、AI技術を利用できる人材を育成することで、人材不足の解消や業務生産性の向上に現場主導で取り組むのが目標だ。2025年11月26日に発表した。

 鴻池運輸が本格始動した「生成AI活用プロジェクト」は、生成AI(人工知能)技術の利用を現場主導で進めるための取り組みだ(写真1)。業務プロセスのデジタル化やデータ化による業務効率化に生成AI技術を積極的に利用していく。プロジェクトの推進に向け、ICT推進本部 デジタルトランスフォーメーション推進部を2024年12月に発足させ、環境整備などを進めてきたとする。

写真1:「生成AI活用プロジェクト」では生成AI活用のための基盤やツールの整備と並行して、グループ全社員を対象にした研修・教育も進める。写真は経営層に向けた研修の様子

 生成AI活用プロジェクトについて執行役員 ICT推進本部本部長 兼 デジタルトランスフォーメーション推進部長の佐藤 雅哉 氏は「人材不足の解消および業務生産性の向上といった経営課題への対応を目的に、ガバナンスと倫理的配慮を重視したセキュアな環境の元での生成AI技術の活用を進めている。単に業務をAI技術に代替させるのではなく、人を中心に据えた業務変革を志向している」と話す。

 同プロジェクトではまず、全社を対象にした生成AIアプリケーションの開発基盤を自社クラウド上に構築した。定型資料作成の自動化やコーポレート部門向けFAQ(よくある質問と答)、チャットボットなどを開発していく。

 これまでに、生成AI技術を利用するためのPoC(Proof of Concept:概念実証)や、生成AIツールの選定と導入・活用を進めてきた。2028年3月期までに、生成AI技術を活用したユースケースを12件以上創出するという目標を掲げている。

 併せて、AIガバナンス体制を強化するとともに、生成AIの活用ニーズに応じたガイドラインを策定する。加えて、グループ全社員を対象にした研修と開発基盤を使ったハンズオン型教育を実施する。職場へのAI技術の活用を促す人材として「AIアンバサダー」に認定し、生成AI技術活用の浸透と内製化を図る。AIガバナンスのさらなる強化にもつなげるとしている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名鴻池運輸
業種物流
地域大阪市(大阪本社)
課題人材不足や業務生産性といった経営課題を解消したい
解決の仕組み全社で生成AI技術を活用できする環境を整備すると同時に人材教育にも取り組み、現場主導での浸透を図る。並行してAIガバナンスを強化する
推進母体/体制鴻池運輸
活用しているデータ社内の業務関連データなど
採用している製品/サービス/技術生成AI技術
稼働時期2024年12月(デジタルトランスフォーメーション推進部の設置時期)