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トヨタ車体、品質管理における熟練者のノウハウを再現するためのAIエージェントを研究

DIGITAL X 編集部
2025年12月9日

トヨタ車体は、品質管理における熟練技能者のノウハウを再現するためのAI(人工知能)エージェントの研究を、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)とともに2025年10月1日に開始した。技能伝承を図り品質管理の向上につなげるのが目的だ。CTCが2025年12月2日に発表した。

 トヨタ車体は、ミニバンや商用車、SUV(スポーツユーティリティビークル)を生産している。2025年10月1日から、品質監理業務における熟練技能者のノウハウを再現するためのAI(人工知能)エージェントの研究に、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)と共同で取り組んでいる(図1)。2026年3月31日までにの間に、熟練技能者のノウハウを組み込んだAIエージェントを開発し、技能伝承と品質管理向上への有効性を検証する。

図1:熟練技能者のノウハウを2つのAIエージェントに組み込み品質管理に利用する研究を進めている

 共同研究するのは、熟練技能者のノウハウを再現するAIエージェント。品質予測とナレッジ検索の2つのAIエージェントを開発し、連携プロトコル「A2A(Agent to Agent)」を使って連携を図る。いずれも画像や動画、センサーデータ、記録文書などを扱えるマルチモーダル対応にする。

 品質予測エージェントは、製造ラインから取得する温度や圧力、振動、外観検査などのデータを複合的に分析し、品質を予測する。その結果を、ナレッジ検索エージェントに伝え、ナレッジシステムが持つ業務データや調査・分析結果を参照しながら、類似現象などから特定の条件や特定の設備設定が影響している可能性を分析し、原因と対策を提示する。

 AIエージェントのプロトタイプはCTCが開発する。その一部はAIシステムの開発を手掛けるヘッドウォータースと同社ののグループ会社であるベトナムのDATA IMPACT JOINT STOCK COMPANYが担当する。

 今回の共同研究について、トヨタ車体 デジタル変革推進部 データサイエンスGr グループ長の佐藤 彰矩 氏は「ものづくりでは、熟練技能者のノウハウは極めて重要な要素であり、その継承と再現は長年の課題でもある。CTCの技術力とAIシステム開発の知見を活かし、これまで人の経験に依存していた判断をデジタルで支える新たな仕組みの構築に挑戦する」とする。

 CTCとしては、マルチモーダルAIエージェントの研究開発から得られる知見を基に、経験や勘に依存している判断をデジタル化することで、日本の製造業が抱える熟練技能者の高齢化と品質確保の属人化の解決策として提供したい考えで、データ活用の企画から定着まで支援するサービス「D-Native」の強化にもつなげるとしている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名トヨタ車体
業種製造
地域愛知県刈谷市(本社)
課題熟練技能者が持つノウハウを継承・再現したい
解決の仕組み熟練技能者のノウハウをマルチモーダル対応のAIエージェントに組み込み、技能伝承と品質管理の向上につなげる
推進母体/体制トヨタ車体、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)、ヘッドウォータース、ベトナムDATA IMPACT JOINT STOCK COMPANY
活用しているデータ製造ラインで取得する温度、圧力、振動、外観検査などのデータ、ナレッジシステム上の業務データや調査・分析結果など
採用している製品/サービス/技術--
稼働時期2025年10月1日〜2026年3月31日(共同研究期間)