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食品スーパーの藤三、全店で来店客数を予測し自動発注するシステムを稼働

DIGITAL X 編集部
2025年12月10日

食品スーパーを展開する藤三は2025年10月、来店客数の予測に基づいて自動発注するシステムを全25店舗で本格稼働させた。発注作業時間や食品のロス率の削減につなげるのが目的だ。自動発注システムを提供するシノプスが2025年12月3日に発表した。

 藤三は、食品スーパー「藤三」とディスカウントスーパー「ビッグハウス」を広島県内で計25店舗を展開している。全店舗で2025年10月、来店客数の予測に基づいて自動発注するシステムを本格稼働させた(写真1)。食品ロスの削減や在庫の最適化を進め、店舗の運営効率やサービス品質、企業価値の向上を図るのが目的だ。

写真1:藤三は全25店舗で需要予測に基づく自動発注システムを本格稼働させた

 自動発注システムでは、各店舗の在庫・売り上げ情報をリアルタイムに把握するとともに、天候やイベントなどの周辺状況を加味して時間帯別の客数を予測する。それを基に日配品や惣菜、パン、精肉、冷凍食品、日用雑貨など17カテゴリーを対象に最適数を自動で発注する。

 同システムの導入により、発注作業で約47時間、品出しなどの関連作業で約77時間、合計で約124時間を削減できているとする。パンのカテゴリーでは売り上げが3%増加し、ロス率は1.3ポイント削減した。日配カテゴリーでは売り上げが1%増え、ロス率は0.3ポイント削減した。惣菜カテゴリーでは売り上げが6%増加し、ロス率は1.3ポイント削減したという。

 藤三はこれまで、グロサリー部門では基幹システムによる発注点管理方式の自動発注を利用していたが、天候やイベントなどによる需要変動への対応が難しかった。日配部門は手動発注だったため属人化が進んでいた。そのため、賞味期限の短い日配品やパンのロス率が高くなっていたほか、発注作業に1店舗当たり月間約100時間を費やしていた。

 自動発注システムの採用は2024年11月に決定し、これまで一部店舗で実証実験を実施していた。自動発注システムにはクラウドサービスの「sinops-CLOUD」(シノプス製)を採用している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名藤三
業種流通・小売り
地域広島県呉市(本社)
課題発注点管理方式の自動発注では急な需要変動への対応が難しく、手動発注では属人化が進んでいた。結果、日配品などのロス率や発注作業負荷が高まっていた
解決の仕組みリアルタイムの在庫・売り上げ情報から時間ごとの来店客数を予測し、適正量を自動発注する
推進母体/体制藤三、シノプス
活用しているデータ在庫・売り上げ情報、天候・イベントの情報
採用している製品/サービス/技術自動発注システム「sinops-CLOUD」(シノプス製)
稼働時期2025年10月(全25店舗での本格稼働時期)