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静岡県掛川市、水道管路の劣化状況を診断するAIシステムを導入
静岡県掛川市は、水道管路の劣化状況を診断するAI(人工知能)システムの運用を開始した。管路の更新を、これまでの耐用年数によるものからAIシステムによる診断結果に基づくものに変える。管路の診断を支援するFracta JapanとNTTビジネスソリューションズ(NTT BS)が2025年11月27日に発表した。
静岡県掛川市が導入したのは、水道管路の劣化状況を分析するAI(人工知能)システム(図1)。従来、法令で定められた耐用年数に基づき管理を更新してきた。今後は、AIシステムによる診断結果から破損リスクの高い箇所を特定し優先的に投資できるようにする。効率的な投資計画により水道事業の持続可能性を高めるのが目的だ。
掛川市は市内全域に約1062キロメートルの水道管路を運用している。水道事業は2025年で104年が経過し、2024年度末の時点で老朽化した管路が全体の18.7%に達している。一方で、給水人口の減少や節水機器の普及などにより需要は減少傾向にあり水道料金の収入減が避けられないのが実状だ。1日当たりの有収水量は2005年のピーク時から2040年には約81%に当たる3万5400立方メートルに落ち込む見通しだ。
加えて、水道事業を担う職員数もピーク時から22%減少し、管路の更新や漏水対応に割く労力が増えている。
水道管路の劣化度診断では、水道管路に関する属性データや、漏水履歴、周辺環境に関する統計データ、他自治体の運用データなどから管路ごとの破損確率を算出したうえで、地域単位の漏水リスクを可視化する。
結果はヒートマップにして、更新の緊急度の高い管路を色分けし、優先順位を明確にする(図2)。漏水との相関が高い因子として、口径や管種、管路年齢などもリストアップする。
今後は劣化傾向を蓄積しながら、中長期でのアセットマネジメントを強化する方針である。
診断システムには、Fracta Japanが提供する水道管路向けAI劣化診断サービス「AIEyes(エーアイアイズ)」を採用している。導入提案とプロジェクト支援をNTTビジネスソリューションズ(NTT BS)が担当した。
| 企業/組織名 | 静岡県掛川市 |
| 業種 | 公共 |
| 地域 | 静岡県掛川市(本庁) |
| 課題 | 水道管の老朽化と担当職員の減少が進む中、法定耐用年数に基づく一律的な更新計画では投資効率が悪く、事業の持続可能性が損なわれる |
| 解決の仕組み | 水道管路の劣化度をAIシステムで診断し、管路の破損確率から更新の緊急度が高い箇所へ優先的に投資することで、限られた予算と人員を有効活用する |
| 推進母体/体制 | 静岡県掛川市、Fracta Japan 、NTTビジネスソリューションズ |
| 活用しているデータ | 水道管路台帳データ、漏水履歴、地形・地質・気候などの環境ビッグデータ、他の自治体の類似学習データ |
| 採用している製品/サービス/技術 | AI管路劣化診断サービス「AIEyes」(Fracta Japan製) |
| 稼働時期 | -- |

