- UseCase
- 金融・保険
あいおいニッセイ同和損保、ドライバーに運転をアドバイスする生成AIを東海東京証券と実証実験
あいおいニッセイ同和損害保険は、ドライバーの運転傾向に沿って安全運転をアドバイスするための生成AI(人工知能)基盤を開発し、社用車を対象に実証実験を東海東京証券と共同で開始した。テレマティクス自動車保険で蓄積する走行データを基に、事故防止につながる具体的な行動指針を生成し提示する。2025年11月28日に発表した。
あいおいニッセイ同和損保が開発した「運転アドバイス生成プラットフォーム」は、ドライバー1人ひとりに合わせた安全運転アドバイスを生成するためのAI(人工知能)基盤。同社の「テレマティクス自動車保険」で提供するドライブレコーダーから取得した走行データを基に、ドライバーの運転特性に応じた改善点を提示し事故防止につなげるのが目的だ。
同プラットフォームを利用し、社用車を運用する企業を対象にした実証実験を東海東京証券と共に2025年11月から2026年3月まで実施する(図1)。東海東京証券が運用する社有車の走行データを用い、ドライバー1人ひとりへの運転アドバイスを月次で生成する。運行管理者もアドバイスの内容を確認し、社用車を持つ企業の視点で評価・フィードバックすることで運転アドバイスの適切化を図る。
運転アドバイス生成プラットフォームは走行データから、急加速や急減速といった運転の挙動のほか、走行時間帯や道路種別、走行距離、平日・休日などの条件を組み合わせ、ドライバーの運転状況を捉える。位置情報を元に、危険な挙動が検知された地点を地図上に表示する機能も持つ。
それらの分析結果を基に「運転診断レポート」に掲載する運転アドバイスを文章として生成する。例えば次のような文章である。
「12月20日午前11時ごろ、急ブレーキが検出されました。周辺500メートル以内に病院が2つ、学校が1つあり、交通量が多い可能性があります。急ブレーキは乗員の安全を脅かし、後続車両との衝突リスクも高めます。また、車両への負担も大きくなります。周囲の状況をよく観察し、特に病院や学校付近では注意深く運転しましょう」
文章の生成には、データベース化している2000以上の履歴も利用する。画一的な指摘文ではなく、ドライバーの好みに合わせて文章の言い回しを優しめや厳しめなどに設定できる。
同プラットフォームは、同社のグループ会社で米オックスフォード大発のAI開発ベンチャーであるAIOI R&D LAB-OXFORDと、AIシステムを開発するArchaicとで開発した。
あいおいニッセイ同和損保はこれまでも、走行データを活用した安全運転のためのサービスやコンサルティングなどを提供してきたが、交通事故の発生件数は下げ止まりの状況にある。運転行動には個人差が大きいため、どの場面でリスクが高まっているのか、どの行動を見直すべきかを具体的に示すことが課題になっている。
今後は、2026年12月までに企業向けサービスとしての提供を目指す。複数のPoC(Proof of Concept:概念実証)により改善しながら、画像なども活用した生成手法も研究開発し、保険サービスの高度化を図りたい考えだ。
| 企業/組織名 | あいおいニッセイ同和損保 |
| 業種 | 金融・保険 |
| 地域 | 東京都渋谷区(本社) |
| 課題 | 交通事故件数は下げ止まりの状況にある中で、運転行動には個人差が大きく、安全運転に向けた適切なアドバイスが難しい |
| 解決の仕組み | 走行データの分析結果を基に、ドライバー個々の運転状況を捉え、そこから、それぞれに合ったアドバイスを生成AI技術で文章化する |
| 推進母体/体制 | あいおいニッセイ同和損保、東海東京証券、AIOI R&D LAB-OXFORD、Archaic |
| 活用しているデータ | ドライブレコーダーで取得した走行データ、データベース化された2000以上の運転アドバイス |
| 採用している製品/サービス/技術 | 「テレマティクス自動車保険」(あいおいニッセイ同和損保が提供) |
| 稼働時期 | 2025年11月〜2026年3月(東海東京証券との実証期間) |
