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東レ、モダナイゼーションを機にDevSecOpsやAIによるコード生成も推進

「GitLab Epic Tour Japan 2025」より

中村 仁美(ITジャーナリスト)
2026年1月5日

2026年に創立100周年を迎える化学メーカーの東レ。老朽化やセキュリティ対応などの課題を抱える基幹システムの刷新プロジェクトを始動し、アプリケーションのモダナイゼーションに取り組んでいる。AI(人工知能)技術を使ったコードの自動生成のも取り組むデジタルソリューション部門統合システム推進部長の坂井 秀樹 氏らが「GitLab Epic Tour Japan 2025〜AI駆動ソフトウェア開発の攻めと守り〜」(主催:GitLab日本法人、2025年11月28日)に登壇し、同社の刷新プロジェクトについて説明した。

 「モノリシックなシステムがたくさん存在し、しかも、それらがスパゲッティ状につながっているという状況に陥っていた」--。東レ デジタルソリューション部門統合システム推進部長の坂井 秀樹 氏は、自社の基幹システムの状態を、こう説明する(写真1)。

写真1:東レ デジタルソリューション部門 統合システム推進部長の坂井 秀樹 氏

基幹システム周辺に200超の業務別システムが乱立

 1926年創業の東レは、2026年に100周年を迎える。BtoB(企業間)ビジネスを主戦場に、例えば、ユニクロとは「ヒートテック」や「エアリズム」を共同開発したり、米ボーイングの「787」のボディー用炭素繊維を提供したりもしている。

 同社の基幹システムは1976年、自社開発により立ち上がった。今も販売や財務などの業務やデータ連携などで稼働している。2000年からはERP(Enterprise Resource Planning:企業資産管理)パッケージの「SAP ECC 6.0」(独SAP製)の導入をはじめ、2003年から順次、会計・購買業務で稼働させた。

 これら基幹システムの周辺には「業務ごとに200を超えるシステムが乱立している。歴史が長いがゆえに『2025年の崖問題』に加え、技術的な立ち後れや変化対応での柔軟性の欠落など、さまざまな技術負債を抱えていた」と坂井氏は話す(図1)。

図1:東レの情報システムが抱えていた課題

 そうした技術負債を返済するために東レは「基幹刷新プロジェクト」を立ち上げた。基幹システムの刷新に加え「周辺システムも整理整頓し、残す必要があるシステムは、できるだけ市販サービスを活用する。どうしても自社開発が必要なアプリケーションはローコード開発とモダナイズで対応することを決めた」(坂井氏)

 まず2023年から約1年半かけて「AWS(Amazon Web Services)」へのクラウドリフトを実施。2025年からアプリケーションのモダナイズに取り組んでいる。

DevSecOpsの実現に向け「GitLab」を採用し自動化を推進

 モダナイズでは「(1)セキュリティの向上、(2)CI(Continuous Integration:(継続的インテグレーション)/CD(Continuous Delivery(継続的デリバリー)による自動化、(3)モノリスからの脱却、(4)常に新しい技術を使うという4つの柱で進めている」と、グループのIT会社である東レシステムセンターのアプリケーション基盤サービス部 主任部員の美里 晋一 氏は説明する(写真2)。

写真2:東レシステムセンター アプリケーション基盤サービス部 主任部員の美里 晋一 氏

 IT部門はこれまで「20年前の非常に古い技術を使い、しかも旧来システムの運用業務に忙殺されてきた」(美里氏)。今回のモダナイズでは「先進の開発技術へジャンプし、ビジネスに貢献できるIT集団に変え、技術者に“ワクワク”を取り戻したい。常に新しい技術を探索しチャレンジできる環境・風土への変革を目指す」と美里氏は力を込める(図2)。

図2:東レがアプリケーションモダナイズで目指す項目

 基幹システム刷新によりビジネスに貢献するためには「開発サイクルを早く回す必要があり、それにはDevOps(開発と運用の融合)」が有効」(美里氏)と考えた。加えて東レには「開発プロセスの初期段階からセキュリティをしっかりチェックしたいというも考えもあった。プロセス終盤での手戻りを防いだり、納期を守るためにセキュリティがおざなりになるのを低減したりするため」(同)だ。