• UseCase
  • 製造

三菱ケミカル、プラント設備の故障を診断するAIエージェントを東海事業所で検証

DIGITAL X 編集部
2026年1月14日

三菱ケミカルは東海事業所(三重県四日市市)において、生産設備の故障を診断するAI(人工知能)エージェントの検証を開始した。設備を管理する熟練技術者の判断プロセスを学習させ、現場での対応品質を安定的に高めるのが目的だ。共同で検証する日立製作所が2025年12月24日に発表した。

 三菱ケミカルが東海事業所(三重県四日市市)で検証するのは、プラントの生産設備の故障を診断するAI(人工知能)エージェント。異常の原因特定から対策の提示までを対象に、設備管理に当たる熟練技術者の判断プロセスを再現し、現場での点検・保守対応の品質を引き上げる。プラントのスマート化に向けた取り組みの一環だ。

図1:三菱ケミカルが進めるプラントスマート化の全体像と故障診断用AIエージェントの位置付け。「HMAX Industry」は日立製作所が提供する産業向け保守・管理サービス

 検証対象にするのは、流体の移動や制御に関わる動力設備や制御装置。高温・高圧の環境で有害物質を扱う現場にあって、AIエージェントが一般的な設備管理技術者と同等以上の故障診断ができるかどうかを検証する。

 AIエージェントの学習データとしては、三菱ケミカルが蓄積する設備関連データを体系的に利用する。設備の基準書や配管・機器図面、装置や配管での流体の流れを示す設計図であるEFD(Engineering Flow Diagram)などの構造情報と、過去の分解点検や開放検査の履歴、検討資料、技術報告書などだ。これらのデータを生成AI技術が参照しやすいようにナレッジグラフに変換する。

 加えて、設備故障の原因を分析するための判断プロセスも学習させている。設備保全の現場で培われてきた思考手順や判断基準を整理したOT(Operational Technology:制御・運用技術)のスキルや知識から、異常時にどの情報を参照し、どの順序で原因を切り分けるかといった実務的な知見を与える。

 OTデータには、異常の兆候や運転状態の変化を捉えるためのプロセスデータや運転履歴、設備状態データのほか、ネットワークカメラや定点撮影装置で取得する画像・動画・音声など現場の状況を示すデータも含まれる。

 今後は、AIエージェントの国内外の生産拠点への展開や、運転管理や安全管理などプラント運営に不可欠な業務への適用を検討する。複数のAIエージェントを協調動作させるための技術開発も進める。

 検証は日立製作所と共同で進める。AIエージェントとして日立が提供する産業向け保守・管理サービス「HMAX Industry」が持つ「設備故障診断AIエージェント」を使用する。同エージェントは故障原因の分析プロセスとして、日立が持つOTスキルを学習している。同スキルは事故をシステム全体の制御構造から説明する「STAMP(System-Theoretic Accident Model and Processes)」モデルに基づいている。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名三菱ケミカル
業種製造
地域三重県四日市(東海事業所)
課題プラント動力設備の故障診断において、設備管理技術者の属人的なスキルに依存せず、高品質で迅速な対応ができる体制を構築したい
解決の仕組み異常の特定から対策提示までに対応できるAIエージェントを導入する。生産設備の図面や保全記録などの実績データの学習と、OT領域の事故分析モデルに基づく判断手順を組み合わせて設備管理技術者と同等の判断ができるようにする
推進母体/体制三菱ケミカル、日立製作所
活用しているデータ設備基準書、配管・機器図面、EFD(設計図)、過去の分解点検・開放検査履歴、技術報告書などの設備関連データ、プロセスデータ・運転履歴、カメラ画像・音声などのOTデータ
採用している製品/サービス/技術産業向け保守・管理サービス「HMAX Industry」のAIエージェント「設備故障診断AIエージェント」(日立製作所製)
稼働時期--