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前田建設工業、能登半島地震の復旧工事でバックホウの衛星通信による遠隔操作を実証

DIGITAL X 編集部
2026年2月3日

前田建設工業は、能登半島地震の復旧工事における危険箇所でのバックホウ作業に対し衛星通信による遠隔操作を実証実験した。約500キロ離れた茨城県取手市から問題各操作できたとする。2026年1月26日に発表した。

 前田建設工業が実施したのは、能登半島地震の復旧工事におけるバックホウの遠隔操作(図1)。石川県珠洲市真浦町で施工中の斜面復旧工事での土砂集積作業を対象に、現地で稼働するバックホウを約500キロ離れた茨城県取手市にある研究施設から衛星通信を介して操作した。作業員が斜面崩壊直下に立ち入ることなく、遠隔から問題なく作業できたとする。グループの前田製作所とで実施した。

図1:石川県珠洲市にあるバックホウを約500キロ離れた茨城県取手市から衛星通信を使って遠隔操作し、斜面崩壊直下の土砂を集積した

 実証では、斜面崩壊上部から崩積土をクライミングバックホウで排土し、崩壊直下にある排土土砂を遠隔操作によるバックホウで集積した。現場の石川県珠洲市真浦町にあるバックホウを、約500キロ離れた茨城県取手市にある研究施設「ICI総合センター」から操作した。

 復旧作業は当初、有人で作業を予定していた。だが、落石や転石による災害の危険性が高く、作業員の安全確保が課題になっていた。遠隔操作では、安全性の確保に加え、歩掛りを有人施工と比較して約半減できたとしている。

 遠隔操作では、建機に搭載したカメラや、遠近感や死角を補う俯瞰カメラの映像を見ながら、遠隔操作専用のコックピットから操作した。コックピットからの制御信号を中継室で変換し、現場のラジコンプロポへ伝達。ラジコンプロポが必要な信号を建機に送信する(図2)。

図2:遠隔操作システムの概要。コックピットの操作を中継室を経由して建機に制御信号を送る

 実験の結果、バックホウによる掘削や集積、土砂の仮置きなどの基本的な操作は、俯瞰カメラの併用により問題なく実施できたとする。一方で、奥行きの把握が必要な精密整形や急斜面での走行、流れ作業による高速施工は難易度が高いことが分かったという。

 遠隔操作では、遠隔操作対応バックホウとコックピットシステム「Smart Construction Teleoperation」(コマツ、EARTHBRAIN製)を採用。通信環境には、衛星通信サービス「Starlink Business」(米SpaceX製)を利用した。

 通衛星通信は速度264メガビット/秒、遅延120ミリ秒を確保でき、遠隔操作に必要な速度を十分に満たせたとする。特に上空視界が開けた海側にStarlinkアンテナを設置した場合、安定した通信状態を確認できたという。

 今後は、実証結果などを踏まえ遠隔操作システムの導入検討を進める。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名前田建設工業
業種製造
地域石川県珠洲市(斜面復旧工事の現場)
課題斜面崩壊直下の土砂を有人運転のバックホウで集積する作業は、落石や転石による災害の危険性が高く、作業員の安全確保が難しい
解決の仕組みバックホウを遠隔から操作し、作業員の安全性を確保しながら作業する
推進母体/体制前田建設工業、前田製作所
活用しているデータ建機搭載のカメラや現場に設置した俯瞰カメラの映像、コックピットの制御データ
採用している製品/サービス/技術遠隔操作システム「Smart Construction Teleoperation」(コマツ、EARTHBRAIN製)
稼働時期--