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韓国HD現代、複数の造船所間で造船の設計・製造データを統合管理するデータ基盤を構築へ
造船業を手掛ける韓国HD現代(HD現代重工業)は、船舶の設計・製造データを統合管理するデータ基盤の構築に着手した。複数の造船所におけるデータの一貫性を確保し、造船プロジェクトの実行精度と効率を高めるのが目的だ。2028年までに運航船の造船への適用を目指す。データ基盤を提供する米シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアが2026年2月16日(米国時間)に発表した。
造船・重工業企業グループである韓国HD現代重工業(HD現代)は、世界各地に造船所を展開している(写真1)。このほど、船舶の設計から製造までのプロセスを対象に、関連データを統合管理するデータ基盤の構築に乗り出した。2030年までの完成を目指す「未来の造船所(Future of Shipyard)プロジェクト」を支える基盤の位置付けで、2026年から段階的に導入を進め、2028年までに運航船の造船に適用する計画だ。
HD現代 エグゼクティブ・バイスプレジデント兼デジタル・イノベーション・オフィス 室長のテジン・リー(Taejin Lee)氏は「データ基盤の構築はデジタル造船戦略を前進させる重要な節目になる。設計から製造までの全工程で一貫性を確保することで、長年の課題だったデータのバラツキを解消し、より構造化され協調的な造船環境の整備を進める」と話す。
構築するデータ基盤では、設計から製造までの主要なデータをデジタルスレッドとして統合する。設計部門と製造部門が同一のデータ基盤を使って業務を進める体制にすることで、工程間で必要な情報をリアルタイムで伝達・同期する。データのバラツキに起因する手戻りやエラーの発生を抑制できると期待する。
実運用に向けては、仮想空間上での事前検証を前提にする業務プロセスに転換し、建造計画や工程変更などの妥当性を造船作業の前に検証できるようにする。そのために、現実の設備や工程をデジタル空間に再現する産業メタバースの構築を並行して進める。物理現象を踏まえた判断や制御のためのフィジカルAI(人工知能)技術も適用し、設計・製造の高度化も図る。
データ基盤上ではデータフローを標準化し、システム間の相互運用性を確保する。CAD(Computer Aided Design:コンピューターによる設計)やPLM(Product Lifecycle Management:製品ライフサイクル管理)などのシステムのほか、自動化やシミュレーションなどの領域の連携を図る。
データ基盤の構築は、「船舶の設計から製造までを一貫して管理するための統合プラットフォーム(Integrated Platform for Ship Design - Production Consistency)」プロジェクトとして、HD現代の中間持株会社である韓国HD Korea Shipbuilding & Offshore Engineering(HD韓国造船海洋)が中心になって主導する。データ基盤には「Siemens Xcelerator」(米シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア製)を選定した。
HD現代では現状、造船所ごとに設計・製造データの形式や粒度が異なり、工程間でデータがばらついている。加えて、造船プロジェクトの大規模化・複雑化に伴い、設計部門と製造部門の連携強化が求められている。
| 企業/組織名 | HD現代重工業 |
| 業種 | 製造 |
| 地域 | 韓国・蔚山(本社) |
| 課題 | 世界各地にある造船所ごとに設計・製造データの形式や粒度が異なり工程の連携が難しいうえ、造船プロジェクトは大規模化・複雑化しており全体の整合性と実行精度を高めたい |
| 解決の仕組み | 設計から製造までのデータを統合するデータ基盤を構築するとともに、現実の設備や工程を産業メタバースとして構築し、設計段階で製造プロセスをシミュレーションすることで、手戻りをなくし品質向上を図る |
| 推進母体/体制 | 韓国HD現代重工業、韓国HD Korea Shipbuilding & Offshore Engineering(HD韓国造船海洋)、米シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア |
| 活用しているデータ | 造船所の設計データ、製造データ、工程計画データ、製造設備のデータ |
| 採用している製品/サービス/技術 | データ統合基盤「Siemens Xcelerator」(米シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア製) |
| 稼働時期 | 2026年(段階導入の開始時期) |
