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鳥貴族のエターナルホスピタリティグループ、グローバルな事業拡大に向け店舗での“おもてなし”をAIで再定義する
焼き鳥チェーン「鳥貴族」などを展開するエターナルホスピタリティグループが、グローバルでの事業拡大に向けて顧客データの統合とAI(人工知能)技術の利用を軸としたDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。実店舗ならではの“ホスピタリティ(おもてなし)”の実現と収益性向上を両立できるビジネスモデルの構築を目指す。2026年3月19日に記者発表した。
「今の外食産業は、効率化やセルフ化を重視するあまり、本来の“おもてなし(ホスピタリティ)”を見失っているのではないか。当社は人とデジタルの融合によって最高のホスピタリティを取り戻したい」--。焼き鳥チェーン「鳥貴族」などを展開するエターナルホスピタリティグループ 執行役員CDIO(最高デジタル情報責任者)の中林 章 氏は、目指すべき方向をこう説明する(写真1)。
同社の成長を支えてきた鳥貴族は「居酒屋業界にありがちだったカウンター中心の煙たい“昭和の焼き鳥屋”のイメージを、女性や若年層が入りやすい明るい店内とテーブル席中心へ変革したスタイル」(中林氏)を生み出した。それが今「インフレや深刻な人手不足、人口減少という“三重苦”を背景に、既存客の高齢化と次世代客の減少によりボリュームゾーンが減少傾向にある」(同)という。
そのためグローバル市場への本格展開を図るため2024年5月、社名を「鳥貴族ホールディングス」からエターナルホスピタリティグループに変更し、鳥貴族を米国、韓国、中国へと展開してきた。2023年1月にM&A(Mergers and Acquisitions:企業の統合・買収)でグループに加えた「やきとり大吉」もベトナムへの出店を計画する。高級業態の「焼きとりの八兵衛」の開業など、ブランドポートフォリオの拡充を図っている。
これらブランドを「Global YAKITORI Family」に位置付け、グローバル市場の拡大に向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)にも取り組む。DX戦略には今後「年間売上高の1%に相当する額を投資に充て、2027年度(2028年7月期)の売上高を2024年度比で10%、約40億円増の達成を目標にする」(中林氏)
顧客の注文を受ける“受け身”から脱却し新たな顧客体験を生み出す
DX戦略では、AI(人工知能)技術の活用を中核に(1)最高のホスピタリティ実践、(2)グローバルビジネスモデル構築、(3)コミュニケーション基盤強化の3つを軸に進める(図1)。
ホスピタリティ実践においては、AI技術の習熟度を次の3ステップで高めていく。第1ステップを2026年度中に完了する計画だ。
第1ステップ :過去の商品注文実績に基づき、ルールベースで商品を提案する
第2ステップ :データ分析により、顧客の嗜好に合わせた類似商品を提案する
第3ステップ :AIエージェントを最適化し、自律的な会話型注文支援を実現する
これらの仕組みは店内に設置する注文パネルに実装する。中林氏は「顧客がトリガー(きっかけ)になって注文を受けるだけの“受け身の姿勢”から脱却し、AI技術により顧客の好みを理解しリコメンド(推薦)することで、新たな発見や常連体験を提供していく」と説明する。
ただAI技術が進化し自動化が進んだとしても「最後のお見送りや『また来てくださいね』という声掛けは店舗のスタッフが担わなければならない。AI技術と、おもてなしの両輪がそろってこそ、他社には真似のできない顧客体験(CX:Customer Experience)の向上が実践できる」と中林氏は強調する。

