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NGK、化合物の結晶探索ソフト開発に生成AIを使い大規模計算コードを作成

DIGITAL X 編集部
2026年5月18日

自動車や半導体向けセラミックを製造・販売するNGK(旧日本ガイシ)は、有機化合物の結晶構造を探索・予測するサービスの開発において、生成AI(人工知能)技術を使う計算プログラムの生成手法を構築した。結晶形を予測するシミュレーションソフトウェアの開発では、大規模な数値計算プログラムをの開発工数を削減し、顧客ニーズに応える探索機能の拡張を迅速にする。2026年4月9日に発表した。

 セラミックメーカーのNGK(旧日本ガイシ)は、有機化合物の結晶構造を探索・予測する「有機化合物結晶探索サービス」を開発している。サービスの中で今回、析出条件によって異なる結晶形を探索する「結晶形予測ソフトウェア」の開発に、生成AI(人工知能)技術を使うプログラム生成手法を構築した。大規模な数値計算プログラムの開発工数を削減し、顧客ニーズに応じた探索機能の拡張を早めるのが目的だ。

図1:大規模な数値計算プログラムを自動生成する手法の概要

 プログラム生成に向けては、赤外線照射や結晶析出に関する物理化学法則を数式として整理し、計算条件や制約条件ともに人間が理解可能な形式で文書化した。それらを生成AI技術にプロンプト(指示文)として入力することで、LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)がPythonによる個別方程式レベルのコードとして生成できるかを検証した。

 生成したPythonコードをルールベースで解析し、手本となるプログラム仕様書やベースコードを適切に与えることで、不要な簡略化や誤解釈を抑えながら正確なプログラムを生成できることを確認した。仮出力生成とバグの修正を繰り返すことで、精度を高めが柄最終的なプログラムを生成する。

 その結果、汎用的なコーディングエージェントがプログラム実装の大部分を担い、人手による実装・検出作業の負担を従来の3分の1程度に軽減できる見通しを得た。開発者は、理論や数式の検討、シミュレーション結果の解釈といった本質的な技術検討に、より多くの時間をかけることができるようになると見込む。

 NGKは今後、検証したプログラム生成手法を他のシミュレーションソフトウェア開発にも展開する計画である。

 有機化合物は、同じ化合物成分でも析出条件によって異なる結晶構造が生じる。その違いは、溶解性や安定性、成形性などに影響を与える。製薬分野などでは、目的に応じて結晶構造を作り分けるための探索や制御が重要な検討課題となっている。

 一方で、結晶形を得るためには、温度・濃度・赤外線照射など多数のパラメーターの組み合わせを検討する必要がある。実験だけで網羅的に検証することは難しく、シミュレーションによって有望な条件を事前に絞り組むことが望まれている。

 従来、シミュレーションソフトウェアの開発では、人手によるプログラム実装と検証が中心だった。特に、大規模計算では数式や制約条件が複雑になりやすく、プログラムミスのリスクや開発期間の長期化が課題となっていた。

 構築に向けた検証には、AI開発を手掛けるLaboro.AIが協力した。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名NGK(旧日本ガイシ)
業種製造
地域名古屋市(本社)
課題大規模な数値計算を伴う有機化合物の結晶形シミュレーションのためのソフトウェアを短期間で高精度に開発し、顧客ニーズに応じた機能拡張を迅速に進めたい
解決の仕組み物理化学法則の数式や制約条件を文書化して生成AIに入力し、ルールベース解析やベースコードを組み合わせることで計算プログラムを自動生成する開発手法を構築する
推進母体/体制NGK、Laboro.AI
活用しているデータ赤外線照射や結晶石出に関する物理化学法則の数式、プログラム仕様書、ベースコード
採用している製品/サービス/技術生成AI技術
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