• UseCase
  • 医療・健康

近大病院と中外製薬、治験参加者組み入れに電子カルテとAI技術を使う抽出方法の研究開始

DIGITAL X 編集部
2026年8月5日

近畿大学病院と中外製薬は、実臨床で蓄積する電子カルテデータからAI(人工知能)技術で治験候補患者を抽出する共同研究を2026年6月から開始している。ルールベースの手法やLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)を使う手法を組み合わせながら精度を検証し、治験全体の期間短縮につながるかを確かめる。中外製薬が2026年6月30日に発表した。

 近畿大学病院と中外製薬が2026年6月から開始しているのは、新薬の臨床開発における治験候補患者を、電子カルテデータからAI(人工知能)技術で抽出する仕組みの共同研究(図1)。抽出精度および抽出プロセス効率化の両面から検証し、治験参加者の組み入れまでの時間短縮につながるかを検証するのが目的だ。実施期間は、近畿大学医学部等倫理委員会の承認を得た上で、2027年3月までを予定している。

図1:治験候補患者を電子カルテデータから抽出する仕組みの共同研究の概要

 共同研究では、中外製薬が策定した治験実施計画書に定められた適格基準に基づき、近畿大学病院の電子カルテデータから治験候補患者を抽出する。

 治験候補患の抽出は、(1)PythonおよびSQLによるルールべースの抽出手法、(2)LLM(Large Language Models:大規模言語モデル)をを使う抽出手法、(3)ルールベースとLLMを併用する抽出手法、の3つのアプローチを用意する。抽出結果は、医師および治験コーディネーター(CRC:Clinical Research Coordinator)による判定結果と突き合わせることで、精度を比較・評価する。

 併せて、治験候補患者の抽出に要する時間や、医師・CRCの作業量および作業内容がどう変化するかも確認する。従来、治験に参加する患者の候補を絞り込む作業は、治験実施計画書を見ながら、医師やCRCが一件ずつ診療情報を確認していた。

 技術検証にはNTTデータが協力し、同社が医療情報活用基盤「千年カルテ」の運用で培ってきた情報の安全管理およびデータ運用設計の実績に加え、医療データの活用・解析に関する知見を提供する。

 検証するLLMには、NTTが開発した「tsuzumi2」を、医学的な公開論文などを基に事前学習を重ねた医療特化型にカスタマイズして利用する。データ統制を重視した設計を採用しており、機微情報を含むデータへの対応を想定した運用を想定している。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名近畿大学病院、中外製薬
業種医療・健康
地域大阪府堺市(近畿大学病院)
課題新薬の臨床開発における治験候補患者の選定は、医師や治験コーディネーター(CRC)の人手による絞り込みを要し、組み入れまでのプロセスが長期化する
解決の仕組み電子カルテデータとLLMを組み合わせて治験候補患者を抽出する仕組みを共同研究し、組み入れまでのリードタイム短縮を図る
推進母体/体制近畿大学病院、中外製薬、NTTデータ、NTT
活用しているデータ近畿大学病院の電子カルテデータ
採用している製品/サービス/技術医療特化型にカスタマイズしたLLM「tsuzumi2」(NTT製)
稼働時期2026年6月〜2027年3月(共同研究期間)