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LINEヤフー、ECモール「Yahoo!ショッピング」へのAIエージェントを拡充

上田 羽純(DIGITAL X 編集部)
2026年9月25日

LINEヤフーは、同社が運営するEC(電子商取引)モール「Yahoo!ショッピング」におけるAI(人工知能)エージェントの機能拡充を図る。そのために出店者が用意するデータの構造化も進めている。AIエージェントの参照を容易にすることで、購入者により有用な情報を届け商談成立をうながす。取り組み状況を2026年8月18日に開いた記者説明会で説明した。

 「AI(人工知能)エージェントは個別作業の効率を高めるだけではない。出店者の負担を減らしつつ、より良い判断を支援し、成長を実感できるようにする」--。LINEヤフー コマースドメイン ショッピングSBU プロダクト開発2ユニット ユニットリードの河内 俊介 氏は、同社が運営するECモール「Yahoo!ショッピング」における出店者向けAIエージェント機能について、こう説明する(写真1)。

写真1:LINEヤフー コマースドメイン ショッピングSBU プロダクト開発2ユニット ユニットリードの河内 俊介 氏

 Yahoo!ショッピングの出店者向けAIエージェントである「Yahoo! EC Pilot」は、店舗運営ツール「ストアクリエイターPro」の機能として2026年3月から提供している。商品情報や問い合わせへの返信案、公式アカウント向け配信文面の作成、競合商品比較、データ分析といった機能を用意する。提供開始から約半年で「出店者の約48%が利用し、利用する出店者の取扱高の前年比伸び率は、非利用出店者に比べ15ポイント高い」(河内氏)という。

 今回新たに(1)コンサルティングレポート(仮称)と(2)LINE配信分析を追加する。前者は、販売データを分析して改善策を提案する機能、後者はLINEでの配信結果を分析して次の施策を助言する機能である。前者の第1弾は2026年夏の終わり頃、後者はそれより早い時期に、それぞれ提供する見込みだ。

 コンサルティングレポート(仮称)では、出店者が指定しなくても、AIエージェントが販売データなどから課題を見つけ出し、広告出稿の見直しなどの改善策を効果予測と合わせて提案する(図1)。提案内容を出店者が承認すれば、その内容をAIエージェントが実行し、その結果も報告する。広告出稿など費用が発生する施策については、権限を持つ担当者だけが承認できる仕組みを検討している。

図1:「コンサルティングレポート(仮称)」はデータ分析で導き出した改善案の実行から結果報告までをカバーする

 もう1つの追加機能であるLINE配信分析は、LINE公式アカウントでの配信結果を分析して次の施策を提案するものだ。

 Yahoo!ショッピングでは購入者向けのAIエージェントの拡充も進めている。コマースドメイン ショッピングSBU プロダクト開発1ユニット ユニットリードの市丸 数明 氏は「AIエージェントによる商品推奨経由の取扱高は2026年7月時点で全体の約20%に達した。AIエージェントを利用する来訪者の購入率は利用していない来訪者の1.5倍だ」と話す(写真2)。

写真2:LINEヤフー コマースドメイン ショッピングSBU プロダクト開発1ユニット ユニットリードの市丸 数明 氏

 この後は(1)配送実績から商品到着日を予測する「AIお届け予報」、(2)ファッション商品画像を合成しコーディネートを提案する「AIおまかせコーディネート」を2026年9月に提供開始する予定である。

AIエージェントが参照しやすいようデータ環境も整備

 AIエージェントの開発と並行して、出店者による商品情報をAIエージェントが参照できるよう、構造化データとして整備する作業を進めている。市丸氏は「AIエージェントが商品情報を参照して推奨しやすい環境を整備し、出品者の負担を抑えつつ成約件数を高めたい」とする。例えば購入者向けのAIお届け予報では「購入者の購買体験が高まると同時に、出店者への配送状況の問い合わせ件数を減らせる」(市丸氏)とする。

 データ整備に関して出店者側で取れる対応として河内氏は「衣料品の着丈や幅など、細かな仕様を商品ページに記載すること」を挙げる。特に「インターネット上での情報が少ないオリジナルブランド商品などはAIエージェントの苦手分野。出店者による情報提供が有効だ」(同)と説明する。

 AIエージェントが商品を推奨する際の優先順位について市丸氏は「現状は既存の検索アルゴリズムを土台にしており、検索上位の商品が推奨されやすい。今後に向けては、検索結果と訪問者の購買履歴などの文脈を照合することを検討している」と説明する。一方で「レビュー件数や評価がAIエージェントによる推奨商品選定に与える影響は小さい」(河内氏)。ただし「配送品質の高さや有料の『PRオプション』などはAIエージェントによる推奨にも影響する」(市丸氏)という。

 合わせて、Yahoo!ショッピング上の商品が外部のAIエージェントからも選ばれやすくなるようデータ整備を進める。米OpenAIの「ChatGPT」など外部のAIチャットサービスなどが商品を推奨する動きを強めているためだ。AIエージェントが外部サービスの情報や機能を呼び出すための標準規格であるMCP(Model Context Protocol)への対応も検討していく。

デジタル変革(DX)への取り組み内容
企業/組織名LINEヤフー
業種サービス
地域東京都千代田区(本社)
課題ECモール「Yahoo!ショッピング」への出店者の業務負荷を軽減しながら、成約件数を増やし事業を拡大したい
解決の仕組み出店者が成約件数を高めるために採るべき施策を販売データや競合比較などから分析・提案・実行するAIエージェントを提供する。商品情報の構造化を進め、来店者に商品を推奨するAIエージェントが、より顧客ニーズに合った商品を推奨できるようにする
推進母体/体制LINEヤフー
活用しているデータ商品情報、配送履歴、購入履歴、LINEの配信記録など
採用している製品/サービス/技術出店者向けAI機能「Yahoo! EC Pilot」、購入者向けの商品推奨AIエージェント
稼働時期2026年3月(Yahoo! EC Pilotの提供開始時期)