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ブロックチェーンが管理している情報の“中身”【第5回】

唐澤 光彦(NTTテクノクロス エンタープライズ事業部マネージャー)
2018年12月6日

マイニングの報酬取得者も分かる

 各ブロックについては、その詳細情報が参照できる(図4)。

図4:ブロック詳細画面

(6)number:(1)と同様にブロック番号を指す。

(7)hash(ハッシュ):ブロックのハッシュ情報を示す。

(8)parentHash:1つ前のブロックのハッシュ情報を示す。

(9)difficulty:マイニング難易度(採掘難易度)として、マイニングにおけるブロック生成の難易度を示す。

(10)size:ブロックのサイズを指す。単位はバイト。

(11)miner:ブロック生成のマイニングに成功し、報酬を受け取るアカウントのアドレスを示す。

(12)nonce:ノンス値(ナンス値)。マイニング作業で新規ブロックを追加する権利を取得したときの証拠(処理回答)を示す。なおノンスには、ここで説明している新規ブロック生成時に算出するものと、トランザクション発行時に使用するものが存在し注意が必要だ。トランザクション発行時には、アカウントが発行したトランザクションの総数がノンスとして使われる。

(13)gasLimit:ブロックガスリミットとして、対象ブロック内で使用できるガスの上限量を示す。ブロックに格納できるトランザクションの量を制限する。

(14)gasUsed:対象ブロックで実際に使用されたガスの総量を示す。

トランザクションリストで、より詳細を把握

(E)到着トランザクションリスト

 ブロック内のトランザクション情報が参照できる。その内容を図5と図6に分けて示す。

図5:トランザクションリストの一部(画面左側)
図6:トランザクションリストの一部(画面右側)

(15)リスト表示中ブロック番号:リストに表示中のブロック番号を表示する。

(16)№:ブロックに格納されたトランザクションの順序を示す。

(17)ID:トランザクションのハッシュ、先頭8桁を表示する。「0x」は、その情報が16進数表記であることを示すための判別文字である。

(18)分類:トランザクションを(a)デプロイ=コントラクトのデプロイ、(b)関数実行=コントラクトの関数実行、(3)送金=仮想通貨の送金の別に表示する。ただし、これはContractGate/Monitor独自に表示している情報である。

(19)内容:トランザクションの分類が関数実行の場合、実行された関数名とその引数を表示する。その他の分類においては、表示項目はない。

(20)メッセージ:トランザクションの分類がデプロイまたは関数実行の場合に、メッセージを表示する。トランザクションの分類が送金の場合は、送金額を表示する。単位は[ETH]。図6におけるメッセージの内容は、ContractGate/Monitorが日本語に置き換えている。

(21)送信元:トランザクションの送信元アドレスを表示する。通常は16進数で表記される送信元アドレスを表示する。図6ではContractGate/Monitorがわかり易い名称に置き換えて表示している。

(22)送信先:トランザクションの送信先アドレスを表示する。トランザクションの分類がデプロイの場合、デプロイ結果のコントラクトアドレスを表示する。表示形式は、(21)と同様、わかり易い名称に置き換えて表示している。

(23)金額:送金がある場合の送金額を表示する。単位は[wei]。

 以上、今回はブロックチェーンに格納される情報について掘り下げて説明してきた。次回は、当社が対応した実証実験事例を解説し、ブロックチェーンの今後について触れる。

唐澤 光彦(からさわ・みつひこ)

NTTテクノクロスエンタープライズ事業部 マネージャー。2016年からブロックチェーン関連の開発業務に就き、ブロックチェーン可視化パッケージ「ContractGate/Monitor」の企画・製品化・プロモーションを担当。ブロックチェーンの仕組みや事例を解説するセミナーなどにも登壇している。入社当時からセキュリティ関連部署に属し、プログラム開発やシステムエンジニア業務を経験の後、製品企画や製品化、プロモーション活動に従事してきた。これまでに、特権ID管理ソリューションの「iDoperation」、IT資産管理ソリューションの「iTAssetEye」の製品化・立ち上げに携わっている。