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AWSの「re:Invent」で感じた機械学習の未来【第4回】

工藤 卓哉(アクセンチュア)
2019年1月7日

今回はシアトルを離れ、ラスベガスで2018年11月下旬に開かれたAWS(Amazon Web Services)の年次カンファレンス「re:Invent 2018」からのレポートです。re:InventではAWSのさまざまな新しいサービスが発表されました。今回は機械学習に注目し、個人的に特に面白いと感じた部分について、私なりの所感をご紹介したいと思います。

 AWS(Amazon Web Services)の機械学習に関する新サービスに触れる前に、今回の滞在中にAccentureがスポンサーを務めた「AWS Executive Summit 2018」というプログラムについてお知らせしておきましょう。

 同プログラムに私は、CSO(Chief Science Officer)として参画しているARISE Analytics(以下ARISE)の家中 仁 社長とともに登壇し、ARISEのアナリティクス戦略をグローバル企業の幹部に紹介する機会に恵まれました(写真1)。スポンサー枠とはいえ、世界中の名だたる企業がこぞって登壇を希望するカンファレンスに米ウォルト・ディズニーとともに、日本のARISEが登壇枠を勝ち取れたのは大変栄誉なことです。

写真1:ARISE Analyticsの家中 仁 社長(中央)とともに登壇した筆者(左)

 ARISEはKDDIとアクセンチュアの合弁会社です。既に発表されているとおり、トヨタ自動車やJapanTaxiと連携し、AI(人工知能)を活用したタクシー配車システムなどの開発をアナリティクスの面から支援しています。これには海外からも高い関心が寄せられています。

 実際、私が司会を務めたラウンドテーブルでは、日本発の取り組みを巡って、今後来るであろう5Gの周波数帯域に対する各国の規制動向やセキュリティ動向など、AIを超えたディスカッションが盛り上がり、日本人として嬉しく感じた次第です。

 このラウンドテーブルの前に現地の特設スタジオで、家中社長と一緒に英語で収録したインタビューがYouTubeに公開されていますので、ご興味があれば、こちらからご覧ください。

目的が明確で、より実践的な技術に触れられる

 さてre:Inventです。1週間を現地で過ごしてみて、MWC(Mobile World Congress)やCESといった大規模なカンファレンスと比較すると、各プログラムの目的が大変明確になっている点が印象に残りました。ハンズオンセッションも数多く用意されており、参加者それぞれが意思を持ち、興味のある分野で、より実践的な技術に触れられる仕立てになっていると感じます(写真2)。

写真2:世界中から大勢が参加したAWSのre:Invent

 私もいくつかのハンズオンセッションに登録し、実際にコーディングをしながら最新のAPI(Application Programming Interface)を叩きながら、使えるものがないかなどを検証してみました。

 それらのうち、AWSのCEOであるアンディ・ジャシー(Andy Jassy)氏による基調講演などでも紹介された新サービスについて、私なりの観点でご紹介したいと思います。

Compute資源を最適化する専用チップ

 まずアンディは基調講演で、現在のGPU(Graphic Processing Unit)の能率の悪さを指摘しました。モデルを本番環境にデプロイした後、累計したインフラコストの過半数がデータから結果を推論する作業に費やされているというのが、その理由です。

 そこでAWASは、チップメーカーと共同開発したチップ「AWS Inferentia」を2019年に提供する予定だと発表しました。これに併せ、Amazon EC2向けに「Amazon Elastic Inference」がリリースされました。ニューラルネットの最適化箇所を特定し、推論処理能力を高速化するサービスです。

 クラウド市場で最も驚異的なパフォーマンスを誇る最新世代の「NVIDIA Tesla V100 GPU」を最大8個搭載しているインスタンスが発表されたということで、会場から拍手が沸き起こっていたのが印象に残っています。

データレイクのマネージドサービス

 わずか数日でデータレイクを構築できるマネージドサービス「AWS Lake Formation」も発表されました。同時発表された複数アカウントをよりセキュアに構築できる「AWS Control Tower」を活用することにより、データレイクへデータを移行する際、AWSアカウントのアクセス権限を統合管理できるようになりました。

 統合された環境では、ログ、セキュリティ監査、ダッシュボード管理が可能になり見栄えもよくなることから、これは特に一般ユーザー受けしそうな新サービスであると感じました。