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  • CX(顧客体験)を高めるCDPの基本とあるべき姿

顧客データの統合的な管理・分析を可能にするCDPの基本

齋藤 公二(インサイト合同会社 代表)
2022年9月9日

リアル店舗やオンライン店舗の別を問わず、新規会社が目指すべきはCX(Customer Experience:顧客体験)の向上です。デジタル化が進み、顧客ニーズや顧客の振る舞いを示すデータの取得が容易になってきた今、顧客データを統合的に管理し分析するための仕組みとしてCDP(Customer Data Platform:顧客データ基盤)への期待が高まっています。CXや顧客ロイヤルティの向上につながるCDPとは何か。その基本を解説します。

 あらゆる事業において、CX(Customer Experience:顧客体験)をいかに高めるかが大きなテーマになっています。各種事業のデジタル化/オンライン化が広がる中、顧客が得られる商品/サービスに関する情報は大量化・多様化が進み、さまざまな要因が揃わなければ「この店で買う」といった決定をしてもらえなくなっています。

 例えば、EC(電子商取引)サイトでの商品購入では、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)や他社のWebサイトなどから情報を事前に入手してから購入するケースが一般的になっています。1人が保有するデバイス台数も増え、情報を収集するためのデバイスと、商品を購入するためのデバイスが異なることも珍しくなくなりました。特定の商品/サービスに関心を持ち購買に至るまでの、いわゆる“カスタマージャーニー”が多様化しているわけです。

 結果、顧客の属性データや購入実績を示すPOS(販売時点情報)データはもとより、どんなSNSやWebサイトを閲覧しているのか、デバイスをどう使い分け、どんな決済手段で購入しているのかなどを把握・分析できなければ、顧客1人ひとりに合わせたマーケティング活動や接客の実行が難しくなっているのです。

 加えて昨今は、環境問題や持続可能性への関心が高まり、商品を購入するまでに留まらず、購入後の使用期間や、それをリサイクルに回し、新たな商品を購入するまでという、より長期間に渡る顧客との関係性の構築が重要になってきています。

 そのために、顧客の行動や振る舞いなどを示す顧客データを、より統合的に収集・管理し、CXを高めるための施策を導き出すための分析を可能にするデータ活用基盤として「CDP(Customer Data Platform:顧客データ基盤)」への関心が高まっています。

 さらに顧客データの活用領域は、マーケティング領域に限られません。顧客の動きを把握することは、サプライチェーン改革や人材教育・育成といった領域でも重要なだけに、CDPを各種システムと連携し、事業継続や事業変革につなげようとする動きもあります。

 例えば、ERP(Enterprise Resource Planning:統合基幹業務)システムや生産管理システムと連携し、在庫やサプライチェーンの改善につなげたり、店舗での接客履歴などと組み合わせることで接客効率を高め、店舗スタッフの働き方改革やスタッフ教育につなげたりが可能になります。

自社が保有する顧客データを全社で統合的に管理する

 CDPは、顧客に関するさまざまなデータを統合的に収集・分析するためのデータ基盤(プラットフォーム)です。企業が保有する顧客一人ひとりの属性や購買履歴、行動履歴などを管理・分析することで、主にマーケティング活動における施策の立案や実行を可能にします。

 マーケティング活動のためのデータ活用基盤としては「DMP(Data Management Platform:データ管理基盤)」があります。DMPは、インターネットのEC(電子商取引)サイトといった外部リソースから収集できる匿名データなど、いわゆる「サードパーティ(3rd Party)データ」を収集するためのデータ基盤です。これに対しCDPは、自社で保有する「ファーストパーティ(1st Party)データ」を中心に収集し、サードパーティデータは外部連携によって活用する形態を取っています。

 またDMPには、広告代理店などが構築・運用し複数社に提供するパブリックDMPと、事業会社が自社データを中心に構築・運用し自社で使用するプライベートDMPとがあります。このうちプライベートDMPは、CDPとほぼ同じ意味合いを持ちますが、プライベートDMPがファーストパーティデータ中心なのに対し、CDPでは、上述したように、ファーストパーティデータとサードパーティデータの両方を扱います。

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