- Column
- 実行性が問われる産業サイバーセキュリティ
多くの事業者が携わるビル業界のセキュリティでは取引先を含めた施策の浸透が大切に
「重要インフラ&産業サイバーセキュリティコンファレンス」のパネルディスカッションより
ダイキン工業は社内人材と新卒の育成でセキュリティ組織を強化
長谷川 :セキュリティ人材不足から事業の継続性に悩む企業が少なくありませんが、ダイキン工業はセキュリティ人材育成で独自の取り組みをなされています。
武輪 :当社のセキュリティ人材の育成・確保策は大きく2つあります。1つは「情報セキュリティリーダー」の育成です。事業に関する経験・知識があり、かつマネジャーの権限を持つものを対象に、セキュリティに関する知識とスキルを持つリーダーを世界各地の拠点で育てています。
彼らは本来、セキュリティの専門家ではないため、まずセキュリティの知識を身につけてもらうために、eラーニングによる知識習得を進めます。加えてスキル教育を、支援ベンダーの力を借りながら、ワークショップ形式で実施しています。
もう1つは、セキュリティに興味を持っている人材のリクルートです。セキュリティ人材は製造業に、あまり関心をもってくれていません。そこで大学でセキュリティに興味を持った学生や、当社の海外事業に携わってみたいという意欲を持つ新卒をリクルートし、一からセキュリティ教育を施し、セキュリティ推進を担える中堅人材を育てるのです。そうした人材を毎年、数人〜数十人レベルで採用し育てていくことで組織の強化を図っています。
各社の取り組みが業界全体のセキュリティ向上につながる
長谷川 :最後に今後の抱負をお聞かせください。
村上 :九州に半導体製造の台湾系企業が進出してきていますが、台湾有事の絡みからセキュリティ対策の必要性が高まっています。新たな課題だと認識し注力していこうと考えています。
亀ノ上 :事業の多角化・スマート化が進むなか、セキュリティ対策を漏れなく打っていきたいと思っています。ただ、セキュリティで“ガチガチ”に縛ってしまうと事業スピードが滞る場合もあるだけに、バランスを見ながら、事業を加速させられるセキュリティの取り組みを意識していきたいですね。
武輪 :これまでは社内向けセキュリティに注力してきましたが、今後は、製品やサービスに関するセキュリティ推進に、よりいっそう力を入れていきたいです。ひいてはビル業界全体のセキュリティ向上に寄与していきたいと考えています。
長谷川 :ステークホルダーが多いなか、さまざまな取り組みが展開されていました。これらの中に聴講の皆さまにとって参考になる取り組みがあれば嬉しいです。ありがとうございました。