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  • 日系SDVが世界で勝つための協調と独自性

無人自動運転サービスを実証から事業へと転換し、日系SDVの巻き返しを図る

「SDVサミット2026」より、経済産業省 製造産業局自動車課 モビリティDX室長の黒籔 誠 氏

トップスタジオ
2026年7月7日

サプライチェーンの透明化に向けてSBOMを活用

 クルマがネットワークと常時接続されるSDV時代で、サイバーセキュリティは単なる技術的な防衛策ではない。黒籔氏は「車両だけでなく半導体や通信機器を含むサプライチェーン全体でリスクが高まっており、産業競争力や経済安全保障にも関わるテーマだ」と指摘する。

 米国は実際、中国やロシアが関与するコネクテッドカー関連のソフトウェアやハードウェアについて、輸入や販売を制限する規則を施行。欧州でも、中国製EV(Electric Vehicle:電気自動車)バスの遠隔アクセスリスクが指摘されたことを受け、公共交通車両の調達要件やセキュリティ評価の見直しが進む。EU(欧州連合)はコネクテッド自動運転車(CAV:Connected and Automated Vehicles)に107項目におよぶ体系的な評価を設けている。

 SDVの競争では「どのソフトウェアを使い、どの半導体や通信機器を組み込み、サプライチェーンをどこまで把握できるかという透明性が、国際市場で事業を展開するための前提条件になりつつある」と黒籔氏は強調する。

 これは日本でも産業政策上の課題になっている。ソフトウェアや部品の脆弱性や調達リスクを管理するために、経産省は「SBOM(Software Bill of Materials:ソフトウェア部品表)の活用や、SDV関連部品のサプライチェーン把握に向けたデータ連携を進め、技術と制度の両面から対応を図っている」(黒籔氏)という。

ユースケースに特化した自動運転AIを使い分ける

 日本はどこに巻き返しの余地を見いだすのか。黒籔氏は「地域交通や物流といった自動運転の具体的な実装領域を見極め、用途に応じて技術を選び、開発や評価の基盤を共通化し、無人自動運転サービスとして早期に事業化へつなげる」重要性を訴える。

 そのための第一歩として黒籔氏が挙げるのは、自動運転AIの戦略的な技術選択だ。自動運転AIのアプローチには(1)モジュール型AI、(2)エンドツーエンド(E2E)AIの2つがあるとする(図2)。

図2:自動運転AIの2つのアプローチと企業の採用スタンス

 モジュール型AIは、「認識」「予測」「判断」の各プロセスを分けて処理する方式で、高精度な3D(3次元)マップの整備を前提とする。「経路が一定で、地図作成コストを回収しやすい交通需要が高い地域に強く、2020年代中のレベル4(限定領域での無人運行)も視野に入る」(黒籔氏)という。主な対象は、都市部の路線バスや幹線物流のトラックだ。

 E2E型AIは、1つのAIが認識・予測・判断のプロセスを一貫して担う方式で、高精度地図がなくても走行できる点に特徴がある。「走行ルートが固定されないため、人口密度の低い地域のタクシーや、主要な物流拠点から先のラストワンマイル輸送への活用が期待される」(黒籔氏)という。複雑な交通状況への対応力は高い一方で「AIの判断根拠がブラックボックスになりやすく、安全性をどう客観的に評価するかが課題」(同)となる。

 2つの技術を踏まえ黒籔氏は「日本はどうしても、米国や中国に比べてAI開発への投資額が少ないという課題がある」と認める。そこではモジュール型とE2Eを用途別に使い分け「あらかじめユースケースの見通しを持った上で、取り組んでいく必要がある」(同)