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仙台市、ドローン使う防災から5Gでのスマートシティ、産業育成まででノキアと連携協定を締結

志度 昌宏(DIGITAL X 編集長)
2017年10月18日

 第2のテーマは地場企業によるイノベーションの創出である(写真3)。東北大学とも連携し、地場の中小企業やスタートアップ企業によるIoT関連のサービス開発を後押しすする。そのためのアイデアソンやハッカソンなども開催しながら、ノキアが2017年3月から提供している日本のIoTスタートアップ向け支援策「ノキア・イノベーション・プラットフォーム」を使って、実現性を検証する。

写真3:仙台発のスタートアップなどをIoT分野での海外展開を指向する

 第3のテーマは、仙台を次世代無線ソリューションのテストベッドにすることだ(写真4)。2018年は4Gを使ってスタジアムなどでのマルチメディアサービスの提供を実証。2020年以降に5Gによる工場や病院などを含めた新しいサービスの開発に取り組むとしている。

写真4:2020年以降の5Gのサービス開始に向けて各種サービスを検討する

 仙台市とノキアの接点は、2000年にまでさかのぼる。フィンランド共和国がITを使った遠隔医療や在宅介護を目的とした国家プロジェクトを進めており、その拠点として仙台市に「フィンランド健康福祉センター」を設置することを2002年2月に発表している。その後、フィンランドの北部最大の都市でサイエンスパークなど産業クラスター政策を進めるオウル市と2005年11月に、やはり産業振興面での協定を結んでいる。こうしたフィンランドとの関係を背景に、今回の協定締結に結びついたという。

 さらに2017年7月、安倍首相がフィンランドを訪れ、2019年の外交関係100周年に向けて、両国の戦略的関係を一層発展させ、経済や、防衛、環境、医療などの分野での協力関係を強化していくとしたことも後押しした。

 産業振興課長の白岩氏は、「ドローンによる防災面で実施例があるというだけでなく、2020年以後の産業育成を視野に入れれば、地場産業の海外進出を軌道に乗せる必要がある。これまでもオウル市とは個別案件で協力できていたが、今後はNTTドコモやノキアといった大手企業と連携しながら、産業としての発展を軌道に乗せたい。そのためには単に技術力だけでなく、その実現という目標を共有できる関係を築けることが重要だ」と話す。

 IoT周辺では、スタートアップ企業の誘致合戦も進む(関連記事『独NRW州が日本のスタートアップを誘致、ロボットやEV、Industry 4.0などをテーマに』。仙台市とノキアの連携は、こうした側面において、新たな道を開く取り組みとも言えそうだ。